質問主意書

第89回国会(特別会)

答弁書


第八十九回国会答弁書第四号

内閣参質八九第四号

  昭和五十四年十二月十四日

内閣総理大臣 大平 正芳   


       参議院議長 安井 謙 殿

参議院議員秦豊君提出建設省計画局総務課編「土地収用法実務提要」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出建設省計画局総務課編「土地収用法実務提要」に関する質問に対する答弁書

一並びに二の(1)及び(3)から(5)までについて

 新東京国際空港公団(以下「公団」という。)が緊急裁決申立書を作成するに当たり、また、千葉県収用委員会が同申立書を受理するに当たり、公共用地の取得に関する特別措置法施行規則(以下「特措法施行規則」という。)等を参照したと聞いている。
 なお、公団が緊急裁決申立書を作成するに当たり、建設省計画局総務課と協議をなし、ないしは指導を受けたかどうかについては、確認できない。

二の(2)、三の(1)及び(3)並びに五の(7)から(13)までについて

 緊急裁決申立書に「緊急裁決を申し立てる理由」を記載することとされているのは、収用委員会が、「特定公共事業に係る明渡裁決が遅延することによつて事業の施行に支障を及ぼすおそれがある」か否かを判断するための参考資料として、起業者において、それをまず明らかにさせるためである。公団より提出のあつた緊急裁決申立書には、「緊急裁決を申し立てる理由」の記載がなかつたが、千葉県収用委員会は、審理における公団の説明、土地所有者等の行動等により、「明渡裁決が遅延することによつて事業の施行に支障を及ぼすおそれがある」と認定したものと思われ、これは妥当と考えられる。

三の(2)について

 緊急裁決申立書中の「緊急裁決を申し立てる理由」の記載方法については特段の定めはなく、「特定公共事業に係る明渡裁決が遅延することによつて事業の施行に支障を及ぼすおそれがある」ことを明らかにするために、起業者が事案に即し、適宜記載することとされているものである。

四について

(1)及び(7)から(10)まで 不備な緊急裁決申立書が提出された場合における収用委員会の取扱いについては、収用委員会が不備の程度を判断して決めることとなる。土地収用法による事業認定の申請及び裁決申請並びに公共用地の取得に関する特別措置法(以下「特措法」という。)による特定公共事業認定の申請においては、補正の手続及び効果を明確にするために補正及び却下の条項を置いたものである。
(2)及び(3) 裁決申請書及びその添付書類並びに明渡裁決の申立てに係る書類が所定の方式を欠くときは、収用委員会は、相当な期間を定めて、その欠陥を補正させなければならないこととされており、起業者が裁決申請書及びその添付書類の欠陥の補正を命ぜられたにかかわらず、定められた期間内に欠陥の補正をしないときは、収用委員会は、裁決申請書を却下しなければならず、裁決をすることはできない。
(4)から(6)まで 収用又は使用の裁決の申請が、土地収用法第四十七条各号の一に該当するときその他同法の規定に違反するときは、収用委員会は、裁決をもつて申請を却下しなければならないこととされており、収用又は使用の裁決の申請のあつた後に緊急裁決の申立てがなされた場合についても同様である。

五の(1)から(6)までについて

 収用委員会が緊急裁決をすることができるのは、「特定公共事業に係る明渡裁決が遅延することによつて事業の施行に支障を及ぼすおそれがある」と認められる場合に限られるものであり、その他の場合には、緊急裁決を行うことはできない。

六について

(1) 御質問の申請の年月日等は、別表一のとおりであると聞いている。
(2)(イ)、(ハ)及び(ニ)並びに(4) 御指摘の二件二筆の土地については、四千メートル滑走路及びこれに対応する諸施設の建設工事を実施するに当たり必要であると考えられていたことから、公団より昭和四十五年六月三十日付けで収用の裁決の申請がなされたものであるが、その後特措法の規定による新東京国際空港第一期建設事業に係る特定公共事業の認定を受ける際、当該二件二筆の土地は同事業に係る起業地から除かれたものである。
   (ロ) 御質問の土地の所在等は、別表二のとおりである。

(3)及び(5) 新東京国際空港第一期建設事業に係る起業地のうち、緊急裁決の申立てをした土地は、土地取得後施設の建設のため工事に相当な期間を要するので早急に取得する必要があつたこと等の理由により申し立てたものであると聞いている。
 なお、本件事業に係る起業地内の土地についてはほとんど確保しており、未取得の土地についても現在取得すべく鋭意努力中であると聞いている。
(6) 緊急裁決については、特措法第二十一条において「損失の補償に関するものについては、裁決の時までに収用委員会の審理に現われた意見書、鑑定の結果その他の資料に基づいて判断することができる程度において裁決すれば足りるものとする。ただし、損失の補償をすべきものと認められるにかかわらず、補償の方法又は金額について審理を尽くしていないものについては、概算見積りによる仮補償金・・・を定めなければならない。」旨規定されていることを、公団は承知していたと聞いている。また、公団の千葉県収用委員会に対する緊急裁決の申立ては、十分に審理が尽くされることを期待して行われたものであると聞いている。
(7) 昭和四十五年十二月二十六日付け裁決(千収委第二百六十号)と異なり、千葉県収用委員会は、昭和四十六年六月十二日付けの緊急裁決(千収委第七十一・七十二・七十三号)を行うに当たつては、損失補償の金額について審理を尽くしていなかつたため、特措法第二十一条の規定に従い、仮補償金としたものと聞いている。

七について

(1)及び(2) 土地収用法実務提要の「第二章 公共用地の取得に関する特別措置法関係」では、特措法施行規則別記様式第三が正確に記載されているが、実務者の便宜のための様式の一例を示した「第四章第三節第二 公共用地の取得に関する特別措置法関係様式例」中様式第五号において、一部記載の脱漏があつたので訂正が行われたものである。
(3) 公団及び千葉県収用委員会が前記脱漏があつたことを知つた年月日及び契機については、確認できないと聞いている。

別表一~別表二 1/3

別表一~別表二 2/3

別表一~別表二 3/3