質問主意書

第89回国会(特別会)

質問主意書


質問第八号

帰化許可者に対する国民年金適用等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十四年十一月十四日

二宮 文造   


       参議院議長 安井 謙 殿


   帰化許可者に対する国民年金適用等に関する質問主意書

 社会保険その他の社会保障制度上、外国人を差別してはならないことは、先にわが国において批准した国際人権規約においても明白なところである。
 従つて、社会保障制度適用上、可能な限りその趣旨が生かされるように制度が改められ、運用されて行く必要がある。
 しかし、わが国の社会保障諸制度の上では、日本国籍を有することを要件としているものが多く、外国人の適用が除外されているものが多い。
 特に、現行制度のもとでは、厳しい要件のもとに帰化を許可された者に対する老後の所得保障たる年金制度において、著しく不合理な結果となることが予想される。すなわち、帰化時の年齢によつては、年金受給権発生に要する加入期間をもち得ず、年金権につながらない者が生じ、あるいは生ずることが予想されるのが現状である。
 よつて、この際、次の諸点について政府の明確な見解を求めるものである。

一 国民年金ほか現在外国人に適用されていない各種社会保障制度について、その改正のための検討はどのようになされているか。また、検討の過程での問題点はどういうところにあるのか。

二 帰化を許可された者について、帰化時点の年齢によつて、年金受給権を将来取得することが不可能となる場合について、その実態を調査するとともに、これらに対し何らかの救済策を検討する考えはないか。

三 老齢福祉年金の適用については、七十歳に達した日において日本国民であることを要件としているが、帰化許可についての厳しい要件を勘案すると、支給開始時期において、必ずしも日本国籍を有することを要件とすべきではないのではないか。

  右質問する。