質問主意書

第89回国会(特別会)

質問主意書


質問第二号

牛乳販売店の経営の安定と牛乳の消費拡大に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十四年十一月五日

市川 正一   


       参議院議長 安井 謙 殿


   牛乳販売店の経営の安定と牛乳の消費拡大に関する質問主意書

 牛乳販売業、とりわけ宅配を中心とした牛乳販売店は、毎日、栄養豊かな食品である新鮮な牛乳を家庭まで配達し、消費者に喜ばれている。特に、寝たきり老人、妊産婦、病人など外出が思うにまかせない人々にとつては欠くことのできない重要な役割をはたしている。
 また、宅配はスーパーなどの店頭売りとことなり、天候などに左右されず、安定した消費を確保するため、わが国の酪農生産の安定した発展にも寄与することができる。
 このような重要な社会的役割をはたしている牛乳販売店が、大スーパーなどの牛乳を目玉商品とした不当廉売によつて、大きな打撃を受けている。
 また、明治乳業、森永乳業、雪印乳業のような大手乳業メーカーの系列販売店への卸売価格は、いずれも一リットル当り一八六円三六銭であるが、大スーパーへの卸売価格は、系列販売店への卸売価格よりも大幅に低い価格になつている。これは独禁法違反の不当廉売や差別対価に該当するものであるが、政府はこれにたいして有効な規制をしていない。
 そこで、消費者の利益を守るとともに牛乳販売店の経営を安定させ、あわせて、わが国の酪農民の経営を守る立場から、以下質問する。

一 大スーパーなどが、牛乳を目玉商品として、中小小売店が競争不可能な価格で販売することは、不当廉売に該当すると思うがどうか。

二 大手乳業三社の系列牛乳販売店への卸売価格は、いずれも一リットル当り一八六円三六銭となつており、価格カルテルの疑いがあるので調査すべきと思うがどうか。一九七七年一一月一七日、参議院商工委員会で同様の要求をしているが、調査結果を明らかにされたい。

三 系列販売店にたいしては、一リットル当り一八六円三六銭で固定しているのに、大スーパーなどにはそれよりも引き下げて卸すことが恒常化している。このことは系列販売店にたいし、乳業メーカーが地位の優越性を利用して、差別対価を押し付けるものであり、独禁法で禁止している不公平な取引に該当すると考えられるがどうか。

四 橋口収公取委員長は、前記七七年一一月一七日の参議院商工委員会質疑で、特殊指定について「前向き慎重に検討」を約束したが、その検討の経過を明らかにされたい。

五 牛乳価格の安定のためには、乳価決定のルール化が必要であるが、政府の検討状況を明らかにされたい。

六 政府は牛乳の消費拡大のため、より積極的な対策をとるべきであると考えるが、その具体化についての方針を明らかにされたい。

  右質問する。