第88回国会(臨時会)
答弁書第一号
内閣参質八八第一号 昭和五十四年九月七日 内閣総理大臣 大平 正芳
参議院議員市川正一君外一名提出小人症への国の対策強化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員市川正一君外一名提出小人症への国の対策強化に関する質問に対する答弁書 一について ヒト成長ホルモンの必要量を安定的に確保するには、輸入に頼るだけでなく国産化を図ることが望ましいと考えているが、そのためには、原料である脳下垂体を一定量以上恒常的に確保する必要があり、これが十分でない現在においては、直ちに国産化することは困難な状況にある。
二について 遺伝子工学を利用したヒト成長ホルモンの合成については、その実用化にまだ数年ないし十数年を要するとされている段階であるので、当面、政府としてはその研究の推移に重大な関心を払つてまいりたい。 三について 下垂体性小人症については、現在、特定疾患間脳下垂体異常調査研究班が内分泌疾患に関する調査研究の一環として調査研究を行つているところであるが、同研究班の業績報告によると、ヒト成長ホルモンの治療効果は年齢に応じて限界があるとされており、治療効果の少ない患者に対して治療研究費を負担することは考えていない。 四及び五について 染色体異常に起因するダウン症候群及びターナー症候群については、心身障害の発生予防に関する総合的研究の中で心身障害の発生防止の立場から研究に取り組んでおり、また、下垂体性小人症については、前記研究班において早期発見技術、原因の究明等について調査研究が行われているところである。
六について 生徒の就職や進学に当たつては、生徒の能力、適性、進路希望等に応じて適切な進路の選択が行われるよう指導してきているところであり、また、職業安定機関においては、就職を希望する者の選考に当たつてその者の適性、能力等を中心としてこれを行うよう事業主を指導しているところであるが、今後ともそれらの指導を推進してまいりたい。 |