第87回国会(常会)
答弁書第一八号
内閣参質八七第一八号 昭和五十四年五月二十二日 内閣総理大臣 大平 正芳
参議院議員上田耕一郎君提出硫黄島戦時疎開者の地権と帰島に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員上田耕一郎君提出硫黄島戦時疎開者の地権と帰島に関する質問に対する答弁書 一について 硫黄島への帰島等に関する旧島民の意向については、東京都及び小笠原村を通じて聞いているところであるが、直接的に旧島民から意見聴取を行つたことはない。 二について 小笠原諸島内の旧小作地に係る賃借権で小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律第十三条第七項の特別賃借権に該当するものについては、同条の規定により、その保護を図ることとしている。 三について 現在、硫黄島の土地については、土地の位置及び境界を一応明らかにする地図として、防衛施設庁が同島復帰後作製した地図があるので、これを東京法務局において管理し、不動産登記事務処理に使用しているところであるが、土地の客観的な境界が明らかでない場合には、本土の場合と同様に、関係所有者間において境界を確定すべきものである。
四について 硫黄島においては、過去に火山活動が活発化した例があり、また、近年、異常な地盤隆起の現象が生じており、このような自然条件の下においては、安全性の確認も得られないことから、現時点における帰島については、慎重に対処すべきものと考えている。 五について 遺骨収集については、従来から実施してきたところである。同島における残存遺骨は、地下埋没壕にあるものと推定され、これらの埋没壕の壕口の発見とその掘開等収集作業に種々の困難を伴つているが、今後とも、残存遺骨について、その実態をは握し、できる限り、その収集の推進を図つてまいりたい。
六について 硫黄島への帰島可能性についてその目途を得るに至つていない現段階においては、御質問に係る施設の建設については、当面、考えていない。 七について 硫黄島の開発及び旧島民の帰島については、その可能性について検討を進めているところである。見舞金については、考えていない。 八について 現在、硫黄島においては、海上自衛隊が飛行場を維持管理し、航空機に対する支援業務を行つている。硫黄島の今後の在り方については、各般の見地から、総合的に検討したいと考えている。
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