質問主意書

第87回国会(常会)

質問主意書


質問第二七号

サラ金規制強化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十四年六月十四日

佐藤 昭夫   
橋本 敦   
内藤 功   


       参議院議長 安井 謙 殿


   サラ金規制強化に関する質問主意書

 深刻な社会問題となつているサラ金については、その規制を求める声が高まつてから久しい。最近の警察庁の調査によつても、今年一月から三月の間に、自殺二十六名、家出四百八十六名という多大な犠牲者を生みつづけていることが明らかにされている。悪質なサラ金業者への規制の強化と業界の正常化は、被害者や被害者救済にあたる弁護士などにとどまらず、業界自身や自治体、消費者団体等多くの国民の求めるところとなつている。ところが今国会立法化が予定されていた「サラ金規制法案」も、政府の無責任な態度と自民党の業界寄り姿勢の固執のもとで、その望みを断たれるにいたつた。
 わが党は、いち早くサラ金被害者の救済活動に取り組み大きな成果をあげるとともに、その深刻な被害の実態や業界の実情の調査をすすめ、これをもとに、今国会へき頭においてサラ金規制三法案(小口消費者金融業法案、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律改正案、利息制限法改正案)を提出するとともに、その早期実現を要求し、あわせて現行法制下でも実施できる諸措置をただちにとるよう政府に申し入れてきたところである。しかるに政府は、昨年来の公約を破つて立法化措置をとらなかつたばかりか、何ら実効ある対策を講じていないのが実情であり、極めて遺憾である。
 かかる事態をふまえ、以下質問する。

一 昨年来の「今国会において立法化をはかる」との政府首脳の一連の公約にもかかわらず、今国会への法案提出をおこなわなかつたのは何故か。またそのため今日に至るも法規制が実施できず、依然として被害者が続出している現状について、いかなる所見をもち、政府の責任をどのように考えているのか。

二 政府は、サラ金規制法の立法化を断念したのか。そうでないとすれば、今後いつ法案を提出する考えか。

三 一部世論にみられる、本業界にかぎつて利息制限法の適用を除外するとの考え方は、利息制限法金利を超えた過払い分の元本充当を認め、さらにそれを超える支払い分の返還請求を可とした最高裁判例を覆すとともに、これをよりどころとしている被害者救済活動を封ずるものである。政府はこの考え方を支持し賛成なのかどうか、明確な見解を問う。

四 近年、割賦販売法、訪問販売等に関する法律など、消費者保護の立場から事業活動を規制する法律が相ついで制定され、また国民生活審議会においても、消費者信用取引のあり方、金利規制のあり方について検討すべきことが提唱されている。政府はサラ金を含めた消費者信用取引のあり方とその改善策について、いかなる方針を持ち、どのような検討をおこなつているのか。

五 規制立法の今国会実現が不可能となつた今日、現在の業界野放しの状況を放置することが、悪質業者のかけこみ開業や悲惨な事件の続発を助長することは明らかである。政府は緊急に、現行法制下でもできる対策を可能なかぎりとるべきが当然である。政府は一体いかなる対策を講ずるのか。また、かねてより要求のあつた、貸付け方法、取立て方法、宣伝方法等の改善についての行政指導の強化や、出資法第八条による立入調査を含む業界の実態調査、悪質業者名の公表、さらには被害防止、国民啓発、自治体への援助について、どのような具体策をとるのか、明確に回答されたい。

  右質問する。