質問主意書

第87回国会(常会)

質問主意書


質問第一二号

沖繩県における混血児の無国籍問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十四年四月五日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 安井 謙 殿


   沖繩県における混血児の無国籍問題に関する質問主意書

 在日米軍基地の五十三パーセントが集中する「基地の島」沖繩では、他県ではほとんどなくなつた混血児の無国籍問題が依然深刻である。国際福祉沖繩事務所の調べによると、沖繩には四千人近い混血児がおり、その父親は圧倒的に米国人が多く、父母と同居している者はわずか二十五パーセント程度で残りの七十五パーセントが別居生活をしている。父親は父親として当然行わねばならない子の出生届や母と婚姻を解消するに当たつての離婚手続とそれに伴う子の親権者の指定や養育費に関する取り決め等の法律上の手続すら怠つて帰国してしまう例が多い。その結果、多くの混血児は国籍やその身分をめぐつて複雑かつ不安定な地位に置かれている。かような沖繩の混血児問題は、戦後三十余年にわたる米軍人の駐留と米軍基地の存続から惹起した問題で社会全体の人権上の問題であるばかりでなく人道的立場からも放置するわけにいかない。従つて、国の責任において解決すべき性質のものであると考える。
 よつて以下質問する。

一 混血児の無国籍が生ずる法律上の原因はどこにあると考えているか示されたい。また、国はかような無国籍児の実態をどのように把握しているか示されたい。もし把握していないとすると早急に実態を調査すべきものと思うがどうか。

二 日本への帰化手続をする際その費用がかなりかかり母子家庭の多い混血児家族は困つている者が多いと聞いている。そこで帰化手続費用を国が負担するか無償にする等の方策を考えるべきであると思うがどうか。

三 日本への帰化手続が複雑であると聞いている。そこでたとえば「子は十五歳から二十歳までの間に外国人父親の国籍か母親の日本国籍にするかを選択し、外国人父親の国籍が認められない場合は日本国籍が与えられる」等のように国籍法を改正し帰化手続を簡素化すべき必要があるものと考えるがどうか。

  右質問する。