質問主意書

第85回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第七号

内閣参質八五第七号

  昭和五十三年十月二十七日

内閣総理大臣 福田 赳夫   


       参議院議長 安井 謙 殿

参議院議員前島英三郎君提出心身障害者の雇用促進とリハビリテーションの充実強化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員前島英三郎君提出心身障害者の雇用促進とリハビリテーションの充実強化に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、心身障害者の雇用対策の企画推進の資料とするため、これらの人々の就業の実態は握のための調査を行うことは必要であると考えており、本年も十月一日現在の状況を障害の程度、就業状況、賃金、職種等について詳細に調査することとしている。

二について

 政府としては、身体障害者雇用率の達成について事業主に対する指導に努めているところである。この指導の一環として、実雇用率が特に低く、また、雇い入れるべき身体障害者数が相当数にのぼる事業主に対しては、労働者の新たな雇入れが予定される場合に、身体障害者雇用促進法に基づく身体障害者の雇入れ計画の作成を命ずることとしている。
 昭和五十二年度においては約六百五十企業に対し命令を発し、これにより、今後約一万五千人の身体障害者の雇入れが予定されているところであり、今後は、同計画の適正実施を指導するとともに、その積極的な活用を図つてまいりたい。

三について

 身体障害者の解雇の届出制度は、昭和五十一年の身体障害者雇用促進法の一部改正により設けられたものであり、新たな義務づけは考えていないが、同制度のより一層の周知徹底を図り、適正な運用に努めてまいりたい。

四について

 身体障害者雇用納付金制度に基づく助成金制度は、身体障害者の新規雇入れに伴う事業主の経済的負担の軽減を図ることを通じて、身体障害者の雇用の促進を図ろうとするものであり、身体障害者の雇用に古くから貢献している事業主についても身体障害者の新規の雇入れがある場合には当然にこの助成の対象となり得るものであるが、改正法施行前の事実に対して助成措置を講ずることは困難である。

五について

 身体障害者に対しては、身体障害者職業訓練校を中心として公共職業訓練施設において、特別の配慮を加えつつ、その能力、適性に応じた職業訓練を行つているところである。また、昭和五十四年度開所予定の国立職業リハビリテーションセンター(仮称)においては、医療的リハビリテーションと連携しつつ、特に重度の身体障害者の職業的自立の促進を図るための職業訓練を行うほか、身体障害者に適した訓練技法の研究開発も併せて行うこととしている。
 民間企業における訓練の委託等については、現行の職場適応訓練制度を積極的に活用するほか、国立職業リハビリテーションセンター(仮称)における研究成果等を踏まえて多様な形態の職業訓練を進めるよう努力してまいりたい。

六について

 特定職種については、重度障害者の能力に適する職種の研究、開発を通じて、今後、その範囲について慎重に検討を加えてまいりたい。

七について

 福祉工場、授産施設等の入所者のうち、一般企業において就労することが可能になつた者については、公共職業安定所を中心に福祉事務所、身体障害者更生相談所等の関係機関が組織的な連携を保ち、各種の援護措置をも活用し、一般企業への早期就職が可能となるよう十分な行政指導に努めてまいりたい。

八について

 身体障害者で、雇用されることの困難なもの等については、これを収容し、又は通所させて、必要な訓練を行い、適切な就労の場をつくりだすため、今後とも、身体障害者授産施設等の整備・拡充を図つてまいりたい。また、一般雇用になじむ身体障害者に対しては、雇用対策の面から、身体障害者雇用促進法を中心として各種の施策を講じているところであり、当面は、同法の円滑な運用を図ることにより、対処したいと考えている。また、福祉工場については、今後同法に基づく助成の対象とすることを検討しているところである。
 御指摘の保護雇用制度等については、これらの施策の充実とあいまつて、今後の検討課題といたしたいが、勤労障害者を対象とした所得保障制度の検討は、当面考えていない。

九について

 理学療法士、作業療法士等リハビリテーション関係専門職員の養成確保については、従来より、その緊急性にかんがみ、努力してきたところであるが、更に、昭和五十四年度開所予定の国立リハビリテーションセンター(仮称)及び国立職業リハビリテーションセンター(仮称)において、医療、職能、職業等の総合的リハビリテーションに係る専門職員の養成及び国内関係施設職員等の各種研修・講習を実施し、関係職員の充足とその資質の向上を図ることとしている。
 なお、御指摘の専門職員の養成等のためのプロジェクトチームは、この国立リハビリテーションセンター(仮称)及び国立職業リハビリテーションセンター(仮称)において実質的に実現できるものと考える。