質問主意書

第85回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五号

環境緑化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十三年十月二十日

藤原 房雄   


       参議院議長 安井 謙 殿


   環境緑化に関する質問主意書

 環境緑化事業は住民の保健・生活圏の保安等自然社会が生み出す多様な機能、効用を目的としている。したがつて、当該事業の果たす重要性に鑑み次の諸点について政府の明確な見解を求めるものである。

一 環境緑化行政、とりわけ環境緑化木の生産・流通行政について政府の基本的方針を明らかにされたい。

二 昭和五十三年七月から九月にかけての干ばつによる被害に関連して次項の内容について伺いたい。

(1) 今回の干ばつによる環境緑化木被害はきわめて甚大なものとなつている。政府はこれらの全国の被額総額をどのように把握しているか。
(2) 一般農作物を含め他の植物においては、生育度の障害はあれ、立枯れのための被害を被つた例はきわめて少ないが環境緑化木に関する限りこのような大被害をうけた原因についてどのような見解を持つているか。
(3) 異常気象は干ばつのみでなく、異常低温・異常乾燥など様々な現象が考えられる。今後、想定されるこの種の環境緑化木の立枯れについて政府はいかなる防止策を講ずる考えか。

三 本来、緑化木は、その地方の土壌及び気象条件に順化された自然植生樹種が採用されるところとなつている。しかし大規模に開発された都市地域等においては、植栽現場の土壌及びその他環境条件が開発前に回復するまでには長期の年月を要するといわれ、特に大都市圏にあつては「大都市砂漠」ともいわれるほど自然の生態系が破壊され、産業公害と併せて元の植栽条件に回復できないのが現実である。こうした環境の変化に対応できる都市開発地域向きの環境緑化木の研究・選定・開発が必要であると考えるがどうか。

四 また、東北・北海道など寒冷積雪地においては環境緑化木が、植栽後三年ないし五年と経過するうち枯れはじめるものが多いという。樹木は同一樹種であつても温暖地で栽培されたものと寒冷地で栽培されたものでは、耐寒性・耐暑性などその樹木のもつ特性において大きな相違があることはこれまでの多くの研究成果によつても明らかである。したがつて今後の緑化事業については、以上のような実情を考慮して適正な樹木の選定ならびにその開発・普及が図られるよう強力なとりくみをすべきであると考えるが見解を伺いたい。

  右質問する。