質問主意書

第84回国会(常会)

答弁書


答弁書第二五号

内閣参質八四第二五号

  昭和五十三年七月十一日

内閣総理大臣 福田 赳夫   


       参議院議長 安井 謙 殿

参議院議員山中郁子君提出米人操縦のセスナ機墜落事故に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員山中郁子君提出米人操縦のセスナ機墜落事故に関する質問に対する答弁書

一について

 御質問のセスナ機は、在韓米陸軍第八軍のフライングクラブ所属であると聞いている。

二について

 大韓民国のソウル・イースト飛行場から米軍岩国飛行場へ飛行する旨の飛行計画の通報があつた。

三について

 御質問のセスナ機のとう乗者の人数は四名で、その氏名、所属及び死亡者は次のとおりである。

ステファン・J・ヘッド(第八軍軍属) 死亡
ジェラルド・J・マクドナルド(第八軍軍属) 死亡
ジュエル・W・エルロッド(第八軍軍属)
ニール・J・ガウス(第八軍軍属)

四について

 御質問のセスナ機とう乗者の米人四名のうち、ステファン・J・ヘッド及びジュエル・W・エルロッドの二名については、五月二十六日、岩国飛行場米軍当局から、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(以下「地位協定」という。)に基づき我が国の上陸手続を免除される者に該当しないものである旨の通告があつたので、同日、同機が米軍岩国飛行場に到着後、所定の上陸手続を行い、本邦上陸を許可した。
 上陸手続を行わなかつた二名については、その後の調査の結果、岩国飛行場米軍当局が誤つて地位協定に基づき上陸手続を免除される者に該当するものとして扱つていたことが判明したので、米軍当局に対し、米側が所定の上陸手続を行わせしめなかつたことについて注意を喚起するとともに、今後の再発防止を申し入れたところ、米軍当局は、右は誤認に基づくものであつたと遺憾の意を表明するとともに、再発防止を約した。
 なお、在日米軍の構成員、軍属及びそれらの家族以外の者であつても、地位協定第三条に基づく米軍の施設・区域の管理権の範囲内で施設・区域への出入を認められる場合があることは言うまでもない。

五について

 御質問のセスナ機は、通報された飛行計画によれば、航空自衛隊浜松北基地に着陸することは予定されていなかつたが、航空燃料の不足のため、同基地に不時着したものである。なお、米軍人が操縦する航空機が自衛隊基地へ不時着した例は、現在記録の存する最近二年間で四件である。
 また、同基地において、御質問のセスナ機に対し百四十リットルの航空燃料を給油したが、これは、自衛隊法及び同法施行規則に基づき無償貸付したものである。この燃料の引渡しの相手方であるステファン・J・ヘッドは死亡したが、現在、その確実な返還を受けられるように交渉が進んでいるところである。