答弁書第一二号
内閣参質八四第一二号
昭和五十三年三月七日
内閣総理大臣 福田 赳夫
参議院議長 安井 謙 殿
参議院議員渡辺武君外一名提出水俣病被害者の補償問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員渡辺武君外一名提出水俣病被害者の補償問題に関する質問に対する答弁書
一について
(1) 水俣病の認定業務の促進については、最善の努力を払つてまいる所存である。
(2) 常駐医の確保を始めとする水俣病検診センターの機能の充実強化については、かねてから熊本県とともに積極的に努力してきたところである。
昭和五十三年度予算の政府原案においても検診施設整備費補助金一億五千万円を新規計上するとともに検診機器の整備費補助を新たに行う等の措置を講じているところである。
水俣病に関する専門の医師は極めて限定されており、常駐医の確保については非常に困難な現状にあるが、引き続き最大限の努力を払つてまいりたい。
(3) 水俣病の認定業務の促進のため、引き続き認定審査会委員の一層の協力を得て審査日数の増加を図る等審査件数の増加が図れるよう熊本県を指導してまいりたい。
(4) 御指摘の一斉検診等については、患者及び専門医師の協力を得て準備体制が整うならば実施できるものと考えている。
二について
(1)、(2)及び(4) 本件について調査したところ、御質問の補償金は、水俣病被害者の会開田幸雄会長とチッソ株式会社島田賢一社長(代理野口朗専務取締役)との間で締結された昭和四十八年十一月十五日付けの契約、同年十二月二十五日付けの協定等の履行に係るものであり、かつ、本件に関しては、現在、別途民事訴訟が提起されている事情もあるので、御質問の補償金については両当事者間において速やかに解決が図られるべきものであると考える。
(3) 公害健康被害認定審査会は、認定等に関し、医学その他専門的見地から意見を述べる機関として設けられているものであり、個別の事例について同審査会が下した判断に立ち入つて意見を申し述べることは差し控えたい。
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