質問主意書

第84回国会(常会)

答弁書


答弁書第九号

内閣参質八四第九号

  昭和五十三年二月二十四日

内閣総理大臣 福田 赳夫   


       参議院議長 安井 謙 殿

参議院議員前島英三郎君提出身体障害者をはじめとするハンディキャップのある人々のための生活環境整備促進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員前島英三郎君提出身体障害者をはじめとするハンディキャップのある人々のための生活環境整備促進に関する質問に対する答弁書

一について

 身体障害者福祉モデル都市として指定された都市においては、その指定が契機となり地域の実情に応じた身体障害者のための生活環境施設・設備の整備について多くの成果が拳がつており、身体障害者福祉モデル都市設置事業は身体障害者のための生活環境整備の普及促進に大きく寄与したものと考えている。
 今後、右の指定都市以外の地域においても身体障害者のための生活環境整備が効果的かつ円滑に図られるよう身体障害者福祉モデル都市における成果を踏まえて地方公共団体を指導するとともに、身体障害者生活活動促進事業等の身体障害者地域福祉活動促進事業に対する国庫補助金の増額、身体障害者福祉バス設置事業に対する国庫補助金の新設等を図ることとしている。
 なお、現段階において、地方公共団体が独自に実施している事業に対する財政的な助成措置を講ずることは考えていない。

二について

(1) 建設省の担当に係る昭和五十二年度完成(予定を含む。)の新営建物で、身体障害者等の利用を考慮して設計されたものは、約六割である。
 既存庁舎についての身体障害者等の利用のための改修は、昭和五十二年度には中央合同庁舎第三号館などについて実施している。また、昭和五十三年度予算案の中で官庁営繕費については、新たに身体障害者等の利用に対する措置のために必要な経費を計上している。
 今後は、中央官庁庁舎、地方合同庁舎等で必要度の高い施設から順次実施していく方針である。
(2) 昨年六月に地方公共団体に通知した「身体障害者の利用を考慮した設計資料」等については、各地方公共団体において建築関係団体に周知させる等の措置が講じられている。

三について

 身体障害者等の利用を考慮した官庁施設の設計については、社会福祉法人日本肢体不自由児協会発行の「障害者のための建築基準(外国編)」、米国保健教育福祉省が米国建築家協会に作成させた「障壁のない環境づくりのための大要」、地方公共団体における指導指針等を検討し、技術的基準の整備に反映させることとしている。

四について

(1) 現在、中央心身障害者対策協議会に専門のプロジェクトチームを設け、心身障害者の自立更生と社会復帰を図るための生活環境の整備について、公共建築物、公共交通機関等の改善等生活環境整備に関する国及び地方公共団体における各種施策の実施状況並びに外国における事情の調査を含め広範囲にわたり検討を行つているところであり、生活環境整備のための基準の作成の可否及びその法制化の必要性について、結論を得る予定時期を現段階において明示することは困難である。
(2)及び(3) 生活環境整備のための公共建築物等の基準の設定については、官庁営繕に関して昭和五十年に「身体障害者の利用を考慮した設計資料」を作成したように、可能なものについては、今後とも基準の統一化を図つていくこととしているが、その法制化については、中央心身障害者対策協議会の結論が得られた段階でその結論などを踏まえ、検討してまいりたい。