質問主意書

第84回国会(常会)

質問主意書


質問第二二号

国内鉱山の維持助成に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十三年六月十六日

藤原 房雄   


       参議院議長 安井 謙 殿


   国内鉱山の維持助成に関する質問主意書

 わが国の銅や亜鉛を中心とする国内鉱山は世界的な需要の落ち込みによる建値の下落によつて経営環境は極端に悪化している。
 銅を例にとるならば、昭和四十九年には、トン当たり六十二万円の国内建値であつたものが、現在では三十二万円まで落ち込んでいる。このため、わが国の国内鉱山は現在八五〇鉱山と十年前の一、七六七鉱山に比べて半分以下に減少し、本年に入つてからも松本・尾去沢鉱山などが閉山し、秩父・大泉鉱山などで大幅な人員縮小が行われている。
 特にこうした相次ぐ閉山の結果、鉱山に地域経済の多くを依存してきた市町村の社会不安も深刻化しつつある。いうまでもなく、国内鉱山は資源の最も安定的な供給源であり、これ以上の国内鉱山の閉山を食い止め、国内鉱山を維持することは国内の安全保障上からも必要と考える。
 そのためには国内鉱山の一定の生産規模が維持されるような施策を講ずることが必要と考える。この国内鉱山のあり方については五十三年五月二十九日鉱業政策懇談会が、「今後の鉱業政策の基本方向」と題する報告をまとめているので、その内容をふまえて、次の諸点につき質問を行う。

一 鉱業政策懇談会の報告をうけて、通産省は、いつ頃までにどのような具体的内容の対策を講じようとするのか。

二 この報告は「国内鉱山の今後のあり方」について「国内資源を有効活用すべき余地は十分存在する」と述べているが、

(イ) 通産省は国内資源を有効活用するために国内鉱山の生産規模をどの程度維持しようと考えているのか。
(ロ) これ以上の閉山をださないためには具体的な生産規模を明示し、それを保障するだけの対策を講ずることが必要と考えるがどうか。

三 同じく、この報告は「政府、地方自治体、関係業界等の出資による「基金」の設立を含め、鉱山経営安定化のための必要資金の確保を円滑化する方策等を早急に検討するべきである」と述べている。そこで、

(イ) 鉱山業界は、鉱山経営安定化のために、年間三〇〇億円、三年間一、〇〇〇億円の国内鉱山維持調整基金制度などを提示しているが、この規模の基金を実現するための助成措置は可能か。
(ロ) (イ)の規模の基金の実現がむずかしいとするならばどの程度の規模の資金的助成措置を考えているのか。
(ハ) その場合、政府、地方自治体、関係業界の出資のための資金負担割合はどのように考えているか。
(ニ) また、助成に必要な資金の確保は如何なる財源によつて講じようと考えているのか。
(ホ) 鉱山経営安定化のためには基金の設立だけで十分か、基金ができるまでの緊急融資を考える必要があるのではないか。

四 国内製錬所の経営悪化の要因は、亜鉛のように、生産コストの五〇%を海外よりも割高な電気代が占めていることにあると考える。

(イ) この点については、通産省は如何なる対策を講じようとするのか。
(ロ) この報告は「水力、地熱による自家発電の開発については、政府としてもさらに積極的な推進を図るべきである」と述べているが、通産省としては、この水力、地熱による自家発電の開発については、どのような対策を講じようと考えているのか。
(ハ) 鉱山周辺には小水力、地熱開発の適地が多いが、この開発にあたつては、一般資金に依存して実施する場合には金利、償却等の資本費負担が大きく、そのため開発意欲が減退しているのが実情である。従つて、開銀等政府金融機関の融資比率の拡大あるいは、開発初期における利子補給制度の新設などの対策を考えるべきではないか。

五 金属鉱山の多くは山間地に立地し、その地域の経済、社会、雇用と極めて密接に関係している。このため国内鉱山の維持助成策にあわせて、周辺地域が存立し、発展し得るような地域対策が同時に考えられなければならないと考えるが、国は如何なる対策を講じていこうとするのか。

  右質問する。