質問主意書

第84回国会(常会)

質問主意書


質問第一三号

株式会社せきやの労働基準法等の違反に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十三年三月四日

内藤 功   


       参議院議長 安井 謙 殿


   株式会社せきやの労働基準法等の違反に関する質問主意書

一 質問の趣旨

(一) 神奈川県厚木市に本社のある株式会社せきや(以下単に会社という)は、日用品雑貨及び総合食品の販売を営む会社(いわゆるスーパー・マーケット経営)で、県下に七店舗を有し、従業員約二〇〇名を使用している資本金三、六〇〇万円の株式会社である。
(二) この会社に勤務していた佐藤恒夫氏は昭和五一年五月一四日に解雇されたため、同人は厚木労働基準監督署に対し、本件解雇及び職場の労働条件について、労働基準法等違反である旨の申告をした。
(三) 同署は調査の結果

1 昭和五一年一一月五日本件解雇は労働基準法第三条違反の疑いがあり、かつ、同法第二条違反であるから解雇を撤回するようにとの指導を文書をもつて会社に対し行つた。
2 また同署は昭和五一年五月一四日、同月二六日及び六月一一日に会社の各事業所において、労働基準法第三七条等、労働安全衛生法第二三条等並びに最低賃金法第五条等違反の事実ありとして是正勧告及び指導を行つた。
3 佐藤恒夫氏の解雇問題について、同人の所属する全日本自由労働組合(以下単に組合という)と会社との間で、数次の団体交渉の結果、昭和五二年四月一六日「解雇を撤回し、原職に復帰させ、かつ和解日をもつて店舗管理課長に就任させる」旨の協約が神奈川県横浜労政事務所の立会の下で締結された。
4 ところが、会社の代表取締役関屋勲氏は、その後になつて、代表権を中川成克氏(中川浅二・全国乗用自動車連合会副会長の長男)らに移譲したことを主たる理由に、右協約を履行せず、その後、協約の破棄通告をしてきた。そのため、組合は厚木労働基準監督署に右事実につき申告したところ、同署は調査の結果、昭和五二年六月一三日、六月二八日及び一二月一七日に会社に対し、労働基準法第二条違反であるから、労使間の「確認事項」通り履行するように口頭で指導した。
5 以上の如く労働基準監督署の文書及び口頭による数度の是正勧告と指導が発せられているにもかかわらず、会社は全くこれに従わず、法令違反の状態がいまだに放置されたままになつている。このような事態は社会的にも政治的にも到底許されるものではない。
6 よつて、かかる企業に対し、政府関係機関による何らかの制裁措置ないしは行政指導を行うことが出来ないかどうか、以下の通り質問する次第である。

二 質問事項

(一) 前記一(三)1項にある通り、本件解雇につき、労働基準法違反として会社に対して「指導票」が交付されているにもかかわらず、これに従わない。このような監督署の文書による指導にも従わない会社に対し、何らかの制裁措置を科し得ないか。また何らかの行政指導を行う考えはないか。この点の政府の見解をお尋ねしたい。
(二) 同一(三)4項にある通り、本件解雇に関する労働協約の不履行につき、労働基準法違反として監督署より口頭による指導が会社に対して行われているが、これに従わない。この点につき前項同様、政府の見解をお尋ねしたい。
(三) 同一(三)2項にある通り、会社の各事業所における労働条件につき、各種法令違反ありとして是正勧告書と指導票が交付されているが、会社はこれを遵守せず、是正しようとしない。
 このような文書による是正勧告にも従わない会社に対し、第(一)項と同様、政府の見解をお尋ねしたい。

  右質問する。