第84回国会(常会)
質問第三号
元号制度明確化に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和五十二年十二月二十日 堀江 正夫
元号制度明確化に関する質問主意書 元号制度の明確化について国民の圧倒的多数がつよくこれを望んでいることは、去る九月に発表された政府の世論調査結果でもきわめて明白であり、全国各地方議会においても相次いで本件促進に対する決議が行われつつある。我々国会議員としても当然、その具体化のための立案研究を進める必要があるが、その研究の前提として左記につき政府の御見解を承りたい。 一 現行皇室典範の制定後、美濃部達吉博士は元号制に関して次のように論述している。「旧皇室典範には……一世一元の制を定めていたが、新典範には全く此の点に付いての規定を欠いている。しかし、それも敢えて此の制を廃止する趣意ではなく、唯元号の事は純然たる国事に属し皇室に関するものではないから、皇室典範に規定すべき事項ではないと思考せられた為であろうと推測せられる。別に法律を以て定められない限りは、明治元年以来の一世一元の制(明治元・九・八布告)は其の儘維持せられているものと解ずべく、而も元号を定むることは憲法に定めている天皇の国事に関する行為の中には属しないのであるから、内閣の権限として政令を以て定めるのを当然とすべきであろう」(日本国憲法原論二七頁)。実は当時の政府当局の見解もまた、この美濃部意見と同様に「行政官布告有効」説であつたことが明瞭であるが(昭和二一・一二・一八貴族院皇室典範案特別委員会における金森国務相の答弁その他を参照)、福田内閣もこの美濃部説と同じ法理見解に立つものと考えてよいか。 二 もし美濃部博士の見解と同じであるならば、政令をもつて元号制度を明確にする考えはないか。 三 もし美濃部説(行政官布告有効説)を認めない立場であるとするならば、どのような法理根拠にもとづいてそれを否認するものであるかを明確に示されたい。 右質問する。 |