質問主意書

第84回国会(常会)

質問主意書


質問第一号

いわゆるマルチ商法(連鎖販売取引)の被害救済対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年十二月二十日

藤原 房雄   


       参議院議長 安井 謙 殿


   いわゆるマルチ商法(連鎖販売取引)の被害救済対策に関する質問主意書

 数年前から外資系企業を中心にしてわが国に拡がつたいわゆるマルチ商法は、勧誘方法の欺瞞性、組織拡大の限界性などから、当初から多くの問題を発生させており、さらに解約しても多額の契約金が返還されず、善良な加入者の生活の破壊を招くケースが出る等の弊害が問題とされてきた。
 これについては、昨年、訪問販売等に関する法律が施行されて一部規制されるようになつたにもかかわらず、依然としてマルチ企業と加入者とのトラブルが絶えない状況である。ことに、外資系企業で香港に本店をもつベストライン・プロダクツ・リミテッドの場合、現在までに約一万人の解約申出者があるといわれるが、これらについて会社側は、解約にともなう商品代金の返済に応じようとしなかつたり、返済条件も十年以上かかる分割支払い方法を採用するなど加入者側の利益について全く考慮が払われていない。
 このため、同社の加入者の中には、解約の申出をして商品を返送したにもかかわらず、会社側から加入金六十三万円の返還について、全く意思表示がない例、商品代金の返還についても月に二、三千円の分割支払いしか受けられない例等がみられるのである。
 こうした実情にかんがみ、マルチ商法の弊害を防止し、善良な加入者の利益の確保をはかるため、次の点について質問する。

一 いわゆるマルチ商法(連鎖販売取引)のもたらす弊害を防止するため、関係省庁は、どのような対策を講じているのか。

二 ベストライン・プロダクツ・リミテッドの解約希望者について円滑な解約を促進するため、関係省庁は、同社に対しどのような指導を行つているのか。

三 関係省庁は同社に対し、解約者に加入金を速やかに、全額返還させるように今後も必要な措置をとるべきではないか。

  右質問する。