質問主意書

第82回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参質八二第一三号

  昭和五十二年十二月六日

内閣総理大臣 福田 赳夫   


       参議院議長 安井 謙 殿

参議院議員立木洋君提出国際特許分類に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員立木洋君提出国際特許分類に関する質問に対する答弁書

一について

(イ)及び(ロ) 日本特許分類(以下「JPC」という。)が、主として用途に従つた分類であるのに対し、国際特許分類(以下「IPC」という。)は、用途及び機能に従つた分類であり、分類項目数がJPCに比べ多い点に特徴がある。各国がIPCを採用することとされているため、IPCには、審査資料の検索が促進されること、外国の発明の理解の一助となること等の長所がある反面、食品等我が国特有の技術に関する分類が十分に展開されていないこと等の欠点がある。IPCの長所にかんがみ、現在、IPCの自国分類化を目指している。

一(ハ)及び二(ニ)について 我が国は、IPCの改正のための提案を適宜行つているところであるが、これによる改正が実現されるまでの間は、我が国独自の識別記号等の作成により対処することとしている。

二について

(イ) 昨年行つた調査によると、分類項目の相当部分が使用されているものと推定される。なお、外国の状況に関する統計は得ていない。
(ロ)及び(ハ) IPC同盟の作業部会において、付与の一致のための施策が研究されており、我が国もこれに参加している。なお、アメリカは、現在、自国分類とIPCを併用している。

三について

(イ) 特許分類は、ストラスブール協定にも明記されているように、事務的性質のみを有するものであるので、従来、これについて法に特別の規定を設けてきていないところである。
(ロ) 昭和五十一年度及び昭和五十二年度においても、引き続き分類審査官の増員を図つてきたところであり、今後も適切に対処してまいりたい。
(ハ) 現在、IPC第三版作成のための分類改正作業が関係国の参加の下に進められており、我が国も廃棄物処理等の技術に関する分類について積極的な提案を行い、その一部は、IPC同盟の作業部会で承認された。作業部会へは必要に応じ参加している。
(ニ) 関係省庁間で、現在、協議中である(現在、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部への通商産業省からの出向者は三名である)。

四について

(イ) 切り替える方向で所要の検討を進めており、それにより、我が国においてIPCが一層利用されるものと考える。
(ロ) 昭和五十二年三月にIPCの公定訳文等を掲載した特許庁公報を発行した外、各地で開催されている工業所有権説明会等においてIPCについて説明を行つた。今後も、所要の施策を講じていく所存である。
(ハ) 各通商産業局及び地方閲覧施設(都道府県の図書館等百十八か所)において我が国の特許公報類の閲覧サービスを行つている外、中小企業振興事業団においては、(財)日本特許情報センター等を利用して、特に、中小企業者に対し特許情報サービス等を行つており、今後とも適切に対処してまいりたい。
(ニ) 特許公報類を交付している公共図書館は、全国で六十一か所あり、そのうち、番号順に整理しているものが四十七か所、分類別に整理しているものが二十三か所である。
(ホ) 過去の公報の公衆に対する閲覧については、IPCとJPCの対照表の活用により支障をきたさないと考えている。
(ヘ) 公共図書館における資料の収集及び保管方法は、設置者の判断により処理される性質のものであると考えている。なお、公開公報の在り方については、引き続き検討することとしている。

五について

(イ) IPC自国分類化に必要な作業は、過去の特許文献へのIPC付与、それらに関するデータの国際交換等であり、これらに要する期間として五年程度を目途としているものである。この作業については、諸般の情勢を踏まえ、迅速かつ円滑に完了するよう努めている。
(ロ) IPCに即応する審査体制の在り方等については、現在、慎重に検討を進めているところである。
(ハ)(1)及び(4)から(6)まで CAPRI計画への参加の準備を開始した後、当該計画における作業の結果をIPCによるサーチファイルの再整理等に利用することとしたところであるが、その具体的内容、スケジュール等については、定常業務との関連を配慮しつつ、現在、所要の検討を行つているところである。
   (2) 個々の出願の量、難易度等により著しく差があるため、一律に論じられない。
   (3) バックデートの公報類への分類付与のミスについては、そのチェックのための電算機プログラムの活用等により対処しており、付与済みの公報類の広報方法については、現在、検討を進めているところである。