質問主意書

第80回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六号

内閣参質八〇第一六号

  昭和五十二年六月十日

内閣総理大臣 福田 赳夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員秦豊君提出新東京国際空港公団法附則第八条に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出新東京国際空港公団法附則第八条に関する質問に対する答弁書

一について

 新東京国際空港公団(以下「公団」という。)の設立及びその最初の事業年度の期間に関する事務処理は、新東京国際空港公団法(以下「公団法」という。)附則第八条の規定に反するものではない。

二及び三について

 御質問に係る内閣法制局長官の答弁は、公団の成立の遅延が予想された時点で、公団法附則第八条の規定についてあらかじめ実情に即した改正を行うのがより望ましい方法であるとの見解もあろうが、同条が単に最初の事業年度の期間を明確にする趣旨のいわば確認的な技術的規定である以上は、そのような同条の改正が公団の設立のための前提要件として必要とされるものではないとの趣旨を、一貫して説明したものである。

四について

(イ) 行政庁が法律の規定を解釈するに当たつては、当該規定と他の規定との間に法解釈の上でそごの生じないようにしなければならないと考えており、そのように配慮している。
(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ヘ)及び(ト)

1 特殊法人等につき関係法令に置かれる最初の事業年度の期間に関する経過規定については、次のように解している。

(1) これらの規定は、一般に、本来の事業年度の期間を定める規定に関する経過措置として、その法人の設立が事業年度の中途においてなされた場合における最初の事業年度の期間を明確にする趣旨のいわば確認的な技術的規定として置かれている。
 このような規定がその法人の設立のための前提要件として必要不可欠のものとはされないこと及び仮にこのような規定がない場合においてもその法人の最初の事業年度の期間は本来の事業年度の期間を定める規定の趣旨から導き出されるものであることは、このような経過措置を定めていない立法例が多数あることからみても明らかである。
(2) 経過規定において最初の事業年度の終期を確定日とすることなく翌年三月三十一日と規定する立法例がいわゆる認可法人についてみられるのであるが、これは、これらの法人の設立が専ら発起人の認可申請に基づく行政庁の認可にかかつており、その申請の時期が関係法律の制定時においては全く予測できないという事情によるものである。
(3) 水資源開発公団法附則第七条の規定において同公団の最初の事業年度の期間を政令で定めることができるとされているのは、同法の制定時においては、同公団の設立が同法の制定後その年又はその翌年のいずれの時期においてなされるかにつき予測することが困難であつたという特別の事情により、政令をもつて、最初の事業年度の期間を明確にするための技術的な経過規定を置くことができることとするのが適当であると判断されたからである。

2 特殊法人登記令は、関係法律の規定に基づき、同令第一条に規定する法人の登記に関し定めるものであり、同令のこのような性格から、同令の規定上は法人の設立手続の相違に基づく差異は設けられていない。

(ホ) 御質問に係る内閣法制局長官の答弁は、公団法以外の立法例に関する御質問に対し、例を挙げて説明したものであり、ことさらに水資源開発公団法に関する答弁を避けたわけではない。

五について

(イ) 特殊法人登記令上の特殊法人関係の法令のうち経過措置として最初の事業年度の終期を確定日として規定するものの数は、七十三である。
(ロ) 右の確定日を経過した後に設立された法人は、公団以外にはない。
(ハ) 当初定められた確定日が法律改正により変更された法人はない。
(ニ) 特殊法人登記令上の特殊法人関係の法令のうち経過措置として最初の事業年度の終期を翌年三月三十一日と規定するものの数は、十七である。
(ホ) 最初の事業年度の期間に関する経過措置を定めていない関係法令が多数ある。