質問主意書

第80回国会(常会)

質問主意書


質問第五二号

振動病対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年六月九日

近藤 忠孝   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   振動病対策に関する質問主意書

 今日、チェンソー、刈払機、削岩機その他の振動機械(工具)の普及とともに、それを使用する労働者に振動障害が広範囲に広がつており、深刻な事態となつている。
 働く国民のいのちと健康を守るために、振動病対策を国の責任においてつよめることが必要であり、その対策について以下の諸点にわたつて質問する。

一 振動障害者の早期発見に力を入れ、検診と治療のできる医療機関を国の責任でふやすとともに振動機械(工具)を使用するすべての労働者を対象とする検診をおこなうこと。
 また自治体や民間医療機関の検診医療機器の設置にあたつて国の補助をおこなうこと。
 労働安全法にもとづいて、特殊健康診断をすべての振動機械(工具)使用者に義務づけ、中小零細の事業主と一人親方に対し国の補助金を出し、労働者が無料で特殊健診をうけられるようにすること。

二 現状では、労働者は労働省がおこなう第一次第二次区分検診を、仕事を休んで無給でうけねばならず、二次検診費の負担が大きいこと、そして振動障害者として診断されても安心して治療に専念できない生活不安にさらされている。やつと検診をうけ、振動障害者として要治療の診断をされながら、多くの場合そのまま放置されているのが実情である。
 区分検診をやめ、軽症者も含めてすべての振動障害者に対してすみやかな治療と労災適用など生活保障をおこなうべきである。
 また主治医の診断を尊重し、病院のたらい回しをやめ、申請したら二週間以内に労災認定をおこない、休業補償給付は実収の八〇%とし、業者の「届出賃金」を押しつけることなどやめるよう指導をつよめること。

三 防振機械(工具)の開発を国の責任で行い、防振機具の購入等にたいする融資制度 (林業労働安全衛生施設資金)の改善と新たな補助制度を検討すること。

四 振動障害者は、治愈した後も長期間振動工具の使用が困難であり、事業主が振動工具以外の仕事を与えることができない場合が多いので、国の責任で適切な働き場所を保障すること。

  右各項目について、具体的な回答を求めるものである。