質問主意書

第80回国会(常会)

質問主意書


質問第三九号

高等学校の建設費に対する国庫補助の改善に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年六月八日

近藤 忠孝   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   高等学校の建設費に対する国庫補助の改善に関する質問主意書

 高等学校の建設費に対する国の補助制度が昭和五十一年度より、五か年間の緊急対策として実施されているが、この国庫補助はいくつかの制限条項によつて、すべての高校建設には行われておらず、五十一年度の場合、高校建設全体の三十二パーセントが補助対象になつたにすぎない。
 このため、群馬県のように五十一、五十二年の二年間に三校の高校建設が行われていても、補助金が全く配分されないという事態がうまれている。
 各都道府県は生徒急増や進学率の上昇により、大量の高校建設の必要にせまられている。
 全国知事会の調査によれば、昭和五十一年から五年間に四百四十六校の高校新増設が計画され、都道府県の財政負担は過重なものになつている。
 高校進学率が九十パーセントをこえている現在、国の責任で希望するすべての生徒に高校教育を保障するため、高校建設費に対する国庫補助制度を拡充すべきであると考え、以下質問する。

一 高校の新増設計画がありながら補助対象にならなかつた県の場合、県全体では生徒急増でなくても、都市部においては生徒が急増し高校建設の必要にせまられている等の実情がある。
 現行の補助要綱では、県全体の生徒急増しか考慮されず、これらの県の実情が反映されていないと考えるが「高校生急増に対処するための緊急対策」であるならば、当然、これらの県も補助対象にすべきであると思うがどうか。

二 文部省の補助要綱では、「空き定員の活用」や「都道府県の財政的努力」が条件になつているが、これらは学区制の変更や授業料の値上げにつながるおそれがあり、国の都道府県への不当な財政誘導にもなりかねない。こうした条件は撤廃し、すべての高校建設を国庫補助の対象とすべきであると思うがどうか。

三 高校を一校建設するのに都市部では三十億~四十億円もかかる現状に比べて、国の補助総額は五十二年度で百十一億円にすぎず、きわめて不充分なものでしかない。このため、都道府県の財政負担が重大となり、用地費を市町村に負担させたり、やむをえず三十学級もの大規模校の建設や学級定員を引き上げる等の窮余の策を検討するところもでている。五十三年度予算では、高校建設費補助を大幅に増額し、補助率も実情に合つた水準に引き上げるべきであると思うがどうか。

四 政府は「高校は義務教育でなく、都道府県の責任である」との態度をとつているが、すでに高校進学率は九十パーセントをこえ、義務教育に準ずるものとなつている。
 国庫補助制度を臨時的なものにせず恒久的な制度として確立し、すべての高校建設に対して補助を行うことが、国民の教育要求に応えるものであると思うがどうか。

  右質問する。