質問主意書

第80回国会(常会)

質問主意書


質問第二九号

沖繩県における水源の保護に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年六月七日

星野 力   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   沖繩県における水源の保護に関する質問主意書

 沖繩県民は永年にわたる米軍の支配と、復帰後もなおいちじるしい行政のたちおくれにより、長い間水不足に悩まされてきた。
 農業などの産業の振興にとつても水の確保は不可欠の要件である。水対策は県民の生命と将来を左右する重要な課題である。
 沖繩本島においてはその地形的条件から今後の水開発の大部分を北部地域に依存せざるを得ないので、この地域への対策はとりわけ重要である。
 この立場から以下の点について質問する。

一 沖繩県においては降雨期、降雨量が不安定であるので、ダムなどの水利用の施設の建設とともに水源のかん養をはかることが必要である。しかるに、施政権返還後五年も経過しているにもかかわらず水源かん養保安林の設置、造成などの施策が全く行われていない状態である。とりわけ、多くのダムがある北部の水源地には広い国有林があるにもかかわらず国は水源かん養保安林の「指定」さえ行つていない。このように施策が遅れている原因は何か。

二 本年度に政府は沖繩県内の「保安林整備計画」を作成する予定と聞いている。この際、遅れを一気にとりもどすべきであると考えるが、計画作成にあたつての重点地域、規模などについての基本方針をうかがいたい。

三 たとえ米軍に提供されている区域であつても、必要な保安林の指定・造成を行うことは当然であり、とくに北部地域にある国有林は全面的に水源かん養保安林などに指定し、造林なども行うべきであると考えるがどうか。

四 戦車道の建設による泥水での宜野座市のダム・水道施設の被害、実弾演習による立木・土じよう破壊、米軍使用の毒物の流入などを見れば、水源地を外国に、それも軍事機密を持ち、日本の法により規制・監督できない軍隊に使用させることなど許されないことは明白である。
 政府は戦車道の建設をただちにやめさせ、復旧をするとともに、水源地にあるすべての米軍施設・区域の返還を求める外交レベルでの交渉を開始すべきであると考えるがどうか。

  右質問する。