第80回国会(常会)
質問第二六号
震災対策に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和五十二年五月三十一日 春日 正一
震災対策に関する質問主意書 現在、関係研究機関や専門学者の多くが、東海および関東地方に、比較的近い時期に、一九二三年関東地震のような巨大地震の再来があるだろうと指摘し、また、直下型地震の可能性についても警告されており、過密地帯、コンビナート地帯をかかえる埼玉、千葉、東京、神奈川など南関東一円の地域では、このような地震が発生した場合の甚大な被害が心配されている。
一 中央防災会議に、震災対策を専門で担当するため関係省庁職員、専門委員(地質、地理、土木、建築、耐震、都市計画、交通、通信、コンビナート保安などの専門家)と関係地方公共団体職員で構成する大都市震災対策部会(仮称)を設け、国と地方が一体となつて防災の計画、実施の推進を図るべきであると考えるがどうか。 二 国は、避難広場、避難道路の整備、コンビナート防災遮断帯の整備、学校、病院その他の重要施設の補強、初期防火体制の強化などをふくむ都市防災事業五ケ年計画(仮称)を策定し、人命の安全にかかわる事業の緊急かつ計画的な実施を図るべきであると考えるがどうか。 三 避難広場を確保するための用地取得にあたつては、現行三分の一の国庫補助率を三分の二に引上げ、避難広場周辺や避難道路沿道の耐震化、不燃化を促進する補助制度の創設など緊急の特別措置を講ずるべきであると思うがどうか。 四 防災遮断帯整備は巨額の経費を要し、横浜市と川崎市だけで一兆九千億円といわれており、現行制度による国の補助事業では事業の早期完成は不可能である。「石油コンビナート等災害防止法」を抜本的に改正し、防災緑地の実施地域の拡大、原因者である企業負担の引上げ、国の補助率の引上げを行うなど地方自治体の負担を軽減するとともに、とくに京浜コンビナートの防災遮断帯については特別の財政措置を講ずる必要があると思うがどうか。 五 自然科学、社会科学の両面から地震をふくむ災害防止を総合的に調査研究する国立の防災総合研究機関を新設するつもりはないかどうか。また、地域の自然的、社会的条件に応じた防災研究、防災体制の強化、防災関係技術者の養成などのために、人口密集地帯、コンビナート地帯、災害常襲地帯をかかえた都道府県には、この研究機関の地域研究機関を設けてはどうか。 六 災害対策の中心は未然防止でなければならない。震災で甚大な被害の予想される人口密集地域の防災対策は緊急に強化する必要がある。そのために、防災のための民主的な都市改造、防災救援体制の確立、総合的な補助制度の創設と国の大幅な財政支出等を内容とする「大都市防災対策特別措置法」を早急に制定すべきであると考えるがどうか。 右質問する。 |