質問主意書

第80回国会(常会)

質問主意書


質問第二五号

新東京国際空港開港推進本部長の談話等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年五月二十七日

秦 豊   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   新東京国際空港開港推進本部長の談話等に関する質問主意書

 成田空港の開港ムードがつくり出される中で、暫定貨車輸送、アクセス、本格パイプラインなどの問題をどのように処理するかが焦点になつてきたとして、毎日新聞千葉支局が新東京国際空港開港推進本部(以下「推進本部」という)の松本操本部長(航空局次長)に質した内容(以下「談話」という)が、去る二十二日付毎日新聞千葉版に報道されていた。
 以下、松本操本部長の談話等につき、成田開港にとりわけ御熱心な福田赳夫首相の御見解を賜りたい。

一 松本操本部長の談話に係わる二十二日付毎日新聞千葉版の報道について

(1) 右報道は真実か。
(2) 虚偽の報道に係わる部分があれば、その部分を具体的に指摘されたい。

二 推進本部につき、次の事項を明らかにされたい。

(1) 設置の時期及び目的
(2) 設置の法令上の根拠
(3) 組織構成
(4) 所掌事務の範囲
(5) 国家行政機構上の位置
(6) 歴代の本部長以下管理職者の氏名

三 松本操本部長の談話では「年内開港になると、突貫工事でも、つぎはぎの(道路)オープンとなる。このため空港利用客をどのように京成線に持つていくかだ。たとえばの話、空港周辺の駐車料金を高くして、経済原則で車を減らすのも一つの手段でしよう。しかし一日の空港利用客は三万四千人(空港公団の推計)というが、実数はどの位かわからない。」とアクセス問題につき報道されているが、

(1) 「つぎはぎのオープン」の具体的な内容を明らかにされたい。
(2) 右において、つぎはぎの解消される時期はそれぞれ何時か、その年月日を示されたい。
(3) 料金を高くすると利用客が減るという経済原則は、どのような交通運輸機関で成立するとしているのか。
(4) 右経済原則は、どのような場合、行政上発動さるべきものとしているのか。
(5) 空港周辺の駐車料金は公共料金としてよいのか。そうでないのなら、その理由は何か。
(6) 空港利用客を京成線へもつていくため駐車料金を恣意的に設定した場合、その増分の所得はどこへ行くのか。またその合理的な根拠は何か。
(7) つぎはぎオープンの場合、空港利用客を京成線にもつていくことしか対策はあり得ないのか。他に対策が考えられていれば、それは何か。
(8) 空港利用客を京成線にもつていくことよりも、空港料金を高くして、空港利用客そのものを減少させるという手段は何故とられないのか。
(9) 空港利用客の推計を推進本部の責任で行わなかつた理由は何か。
(10) 空港公団の推計に係わる三万四千人の空港利用客の内訳を、乗降旅客数、送迎者数、見学者数及び従業員数の別に根拠を添えて明らかにされたい。

四 根木名川橋りよう工事は、成田新幹線か、国鉄線の延伸(成田新線)なのかについて、松本操本部長の談話では「規格内容を読むと新幹線のもの。その点は千葉県も承知のはずだが……。」と報じられているが、

(1) 国鉄線の延伸、つまり成田新線による空港アクセスは考えられていないのか。何故か。
(2) 千葉県知事は、成田新幹線の建設を承知しているとしてよいのか。

五 本格パイプライン問題について、松本操本部長の談話では「ルートを含めた基本計画申請は今年九月までに出さなければならない。問題は石油パイプライン事業法に盛り込まれた技術基準をどのように解釈するかだ。つまり油もれの検知装置は、どこまで検知できるものを使うかだ。省令では「微量」となつているが、この言葉が難しくて。(パイプに触れて)指が湿つた程度が「微量」なのか、周辺ににじみ出ても「微量」なのか。
 千葉市とのパイプライン問題の交渉は、暫定輸送問題が片づいたあと、改めて国の責任で対処することになつている。」と報じられているが、

(1) 基本計画申請は今年九月までに出さなければならないとする理由は何か。
(2) 石油パイプライン事業法(以下「事業法」という)十五条四項は発動されないということなのか。何故か。
(3) 事業法十五条の工事計画の認可を受ける前提として、事業法八条の事業用施設の変更の許可を受ける必要はないのか。何故か。
(4) 事業法施行令附則二項により事業法五条の許可を受けたものとみなされた空港公団の事業用施設は、現在どのように保守管理されているのか。
(5) 右の保守管理は事業法にのつとり行われているのか。そうでないのなら、右保守管理の法令上の根拠を示されたい。
(6) 事業法に盛り込まれた技術基準で、その解釈が行政内部で確定していないものは何か、その総てを示されたい。
(7) 「微量」という表現のある省令とは何か、その条項とともに示されたい。
(8) 千葉市とのパイプライン問題の交渉は、暫定輸送問題が片づいたあと、改めて国の責任で対処することにしたのは、何時か。
(9) 右の決定は誰れの責任で行われたのか。
(10) 暫定輸送問題が片づかないと、何故、千葉市とパイプライン問題の交渉ができないのか。
(11) 千葉市とのパイプライン問題の交渉は、ルート案の決定が行われたあとになるのではないのか。
(12) ルートの最終決定は、沿線住民、千葉市及び空港公団の三者の合意で行われるとしてよいのか。それともまた住民無視を行うのか。

  右質問する。