第80回国会(常会)
質問第二四号
沖繩県の地籍問題等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和五十二年五月二十七日 喜屋武 眞榮
沖繩県の地籍問題等に関する質問主意書 沖繩県における軍用地は、米軍の圧倒的な軍事力による銃剣とブルドーザーによつて強制的に接収されたものがほとんどである。沖繩県民は、祖国復帰の際に、核も基地もない完全復帰を強く要求して来た。しかし国はいわゆる公用地暫定使用法の制定を強行し、基地の継続使用をはかつた。この公用地暫定使用法は、当時の琉球政府をはじめ多くの国民が違憲性の強い法律であるとして反対して来たことは周知の通りである。それにも拘らず今国会において更に五年間の長期にわたつて本法が延長されたことは極めて遺憾である。この延長を定めた「沖繩県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法」の各条についても審議が尽くされたとはいえず、その内容について解釈上の疑問点、不備な点が多い。
一 目的について この法律は、位置境界の明確化のための措置等の実施を図り、もつて沖繩県の住民の生活の安定と向上に資することを目的として掲げている(第一条)。この目的を達成するためには、地籍の明確化は勿論のことであるが、広大な軍事基地を整理統合するのみならず土地所有者に返還していくことが必要である。国は沖繩県に所在する軍事基地を返還するために、いかなる具体的返還計画を持つて米国と交渉する方針か示されたい。 二 所管について (1) この法律において「実施機関の長」は、駐留軍用地等以外の土地については沖繩開発庁長官、駐留軍用地等については防衛施設庁長官とされている(第二条第二項)。かように所管が統一されていない結果として、調査地域の競合を生ずるおそれがある。かような競合を生じさせないための対策を示されたい。
三 位置境界明確化のための計画等について (1) 計画は実施機関の長が作成するとしているが(第三条第一項)、土地利用計画等との関係から、沖繩県側の意向が反映できるように事前に県知事及び関係市町村長と協議すべきであると思うがどうか。
四 関係所有者による位置境界の確認等について (1) 位置境界が確認されたときの規定はあるが(第十二条)、確認されないときの規定がない。確認されなかつたときいかなる措置をとるのか示されたい。
五 実施機関の長の勧告について 第十三条は勧告制度について定めているが勧告が効を奏しなかつたときの措置を示されたい。また関係所有者が勧告を申し出る場合はどのような場合を想定し、その申し出の条件はどういうものであるか。 六 返還地の利用促進のための措置について 第十九条に定める事業の推進は、沖繩県及び関係市町村の土地利用計画と関連するので、県知事、関係市町村と事前に協議する必要があると思うがどうか。 七 土地の交換等のあつせんについて 与那原地区における割当土地からはじき出されている土地については、国有地との交換が必要と思われる。第二十一条のあつせんは、私人間の土地の交換あつせんのみならず、国有地との交換あつせんも含まれるかどうか。 八 財政措置等について (1) 国は、計画に係る境界不明地域内の公共施設の整備について必要な財政措置を講ずるとするが、公共用施設の取得費も含めて予算措置を講ずるべきであると思うがどうか。
九 返還地の原状回復について (1) 第二十三条は合意により供された土地に限定され、契約拒否地主の土地を排除しているが、その理由を示されたい。
十 駐留軍等が使用している土地の買入れについて 第二十四条により国が土地を買入れるときは、沖繩県の土地利用計画を阻害しないよう十分な配慮をすべきだと思うがどうか。 十一 事務の委任について 第二十五条にいう委任事務の範囲を示されたい。 十二 本法が実情にそぐわないことが明らかになつたとき、国はその改正をする意思があるか。 |