質問主意書

第80回国会(常会)

質問主意書


質問第二一号

国土調査法による境界不分明土地の滅失処分に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年五月二十日

栗原 俊夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   国土調査法による境界不分明土地の滅失処分に関する質問主意書

 国土調査法に基づく国土調査によつて、既存の土地所有権が奪われることのあり得ないことは既に政府答弁によつて明らかになつているところである。
 しかるに、一級河川利根川水系烏川沿岸、藤岡市中島地先、同市立石地先、同市立石新田地先等において、数十町歩にわたる広大な土地が、国土調査法の調査結果として、滅失処分に付され、登記簿閉鎖がされておる。国土庁の説明によれば、これらの土地について、河川区域の認定があつたという前提で諸手続を進めたという。
 右に関し、次の諸点について明確な答弁を求める。

一 同地域について河川区域の認定があつたというのは、群馬県報に掲示された

 告示(昭和十一年四月二十一日告示第二百十号)
 烏川左岸高崎市・右岸高崎市碓氷川合流点以下佐波郡芝根村利根川合流点ニ至ル間ノ河川区域ヲ左ノ通定ム
 左岸ニ建設セル川敷杭一号乃至三〇二号見通線及右岸ニ建設スル川敷杭一号乃至二一二号見通線内ノ土地

によつて河川区域の認定がされたということであるか。

二 右の河川区域の認定を前提として、河川区域の土地は、実態調査も行わず滅失処分に付したのか。

三 滅失処分に付した土地は、一筆毎に、その土地の位置、地番、地積は、どのようにして把握したのか。

四 河川区域と民有地との境界はどのようにして明らかにしたのか。

五 河川認定の公告は形式的には成立しているかもしれないが、公告文面で明らかなように、川敷杭の位置の明示が無く、従つて、河川区域に認定しようとする土地の一筆毎の位置、地番、地積が具体的に決定出来ない不完全なものである。そのため、公示後数十年を経ても、ついに河川認定による代位登記、登記簿閉鎖が出来なかつたものである。
 河川認定の公示はしたが、その内容が、地域の具体的位置、地番、地積の決定出来ないものが有効であるといい得るか。

六 以上のような河川認定を前提とした、国土調査法による滅失処分は不当なものであるという他なく、当然処分取消しの行わるべきものと考えるがどうか。

  右質問する。