質問主意書

第80回国会(常会)

質問主意書


質問第一一号

新東京国際空港公団が犯した同公団法違反の無認可業務に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年三月十四日

秦 豊   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   新東京国際空港公団が犯した同公団法違反の無認可業務に関する質問主意書

 新東京国際空港公団(以下「公団」という)は、首都圏において新しい国際空港による公共サービス(機能)を供給・確保するためとしてか、昭和四十一年七月三十日に設立の登記を完了し、同日から成田空港建設に係わる業務を公団として正式に開始したとされている。ところが公団法二十四条の規定により業務開始の法定要件とされている業務方法書の認可を公団が運輸大臣より受けたのが、昭和四十六年十二月一日であり、業務開始後、実に五年四ケ月を経た後のことである。
 右事実に鑑み、公団法の運用に職責を有する運輸大臣の御見解を賜りたい。

一 公団が公団法二十四条一項前段の規定により、業務方法書を作成し、運輸大臣の認可を申請した年月日及び運輸大臣が同書を認可した年月日をそれぞれ示されたい。

二 公団が公団法二十四条一項後段の規定により業務方法書を変更したことがある場合、現在迄の一切の変更認可に関し、変更認可申請の年月日、変更の内容、変更の理由及び運輸大臣による認可の年月日をそれぞれ示されたい。

三 公団は公団法附則五条の規定により設立の登記をすることで成立するとあるが、公団の設立の登記が行われた年月日を示されたい。

四 公団が公団法二十条に規定される業務を法律上正式に開始した年月日及びその法律上の根拠規定を示されたい。

五 公団法二十五条の規定による公団の事業年度について、最初の事業年度は経過措置として何時に始まり何時に終つたか、それぞれの年月日を示されたい。

六 公団の最初の事業年度について、公団法二十条各項各号の業務に関し、それぞれ予算・決算を示されたい。

七 公団の昭和四十二事業年度以降昭和五十事業年度に至る各事業年度毎に、公団法二十条各項各号の業務に関し、それぞれ予算・決算を示されたい。

八 公団法四十二条一号の規定によれば、公団法二十四条一項前段の規定による業務方法書の認可を受けずに業務を開始した場合、三万円以下の過料に処することになるとしてよいのか。しからざれば、その理由を示されたい。

九 公団法二十四条一項前段の規定による業務方法書の認可を受けずに業務を開始することは、また業務方法書を無認可のまま業務を続行することは、公団法十四条二項二号の職務上の義務違反があるときに該当するとしてよいのか。しからざれば、その理由を示されたい。

十 右八及び九で該当する公団役員は、総裁、副総裁又は担当理事のいずれか。

十一 公団が公団法二十四条一項前段の規定による業務方法書の認可を、業務開始後五年四ケ月にわたり受けなかつた原因及び理由は何か。

十二 公団が公団法二十四条一項前段の規定により業務開始の法定要件とされている業務方法書の認可を受けることなく、五年四ケ月にわたり右法定要件を欠如したまま空港建設などの業務を行つてきたという事態に関し、公団法三十六条一項の規定により公団を監督する任にある運輸大臣として、

(1) 右違法事態を放置してきた原因及び理由を示されたい。
(2) 右違法事態の発生を知つた年月日及び知るに至つた経路を示されたい。

十三 公団法二十六条の規定により、公団が毎事業年度、事業計画、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に運輸大臣の認可を受けたということをもつてしては、公団法二十四条一項の規定により公団が業務方法書を作成し、運輸大臣の認可を受けなければならないという公団法上の要請を代行し得ないと思料するが、運輸大臣の見解はどうか。根拠・理由を添えて明らかにされたい。

十四 公団設立後五年四ケ月にわたる空港建設などの業務の強行は、地元農民や周辺住民との間に幾多の紛争をひきおこし、千葉県警察本部が警備に出動してきたと聞くが、その際公団は自ら遂行中の業務が、公団法に違反し、業務開始の法定要件を欠いた無認可業務であると千葉県警察本部にあらかじめ説明しておいたか。

十五 公団による空港建設などの業務が、業務開始後五年四ケ月にわたり適正手続きを欠いたものであることを知らないまま、千葉県警察本部は空港建設の警備に出動していたと運輸大臣は判断するのか。事実はどうだつたのか。

十六 昭和四十九年四月二十六日付内閣答弁書において、田中角榮首相(当時)は「緊急を要する公共事業であつても、法手続きを無視してよいとする理由はなく、法手続きの簡略化については、明文の規定が必要であることはいうまでもない。」と回答し、昭和五十年五月十六日付内閣答弁書において、三木武夫首相(当時)は、同じ質問に対し「政府の見解は従前のとおりである。公共事業であつても、法手続きを無視してよいとする理由はなく、現行法令の定める手続きに従つて行われるべきものであることは当然である。」と回答しているが、公共事業の遂行と法手続きについて、田村元運輸大臣はどのような見解をおもちでおられるか。

  右質問する。