質問主意書

第80回国会(常会)

質問主意書


質問第四号

新東京国際空港公団が犯した航空法違反の無認可工事に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年二月十九日

秦 豊   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   新東京国際空港公団が犯した航空法違反の無認可工事に関する質問主意書

 新東京国際空港公団は、成田空港の建設にあたり、必要用地の取得を図るべく、土地収用法による事業認定及び公共用地の取得に関する特別措置法による特定公共事業認定の各処分を建設大臣より受け、建設工事を行つてきた。しかし右二つの認定処分に係る起業地計画から航空保安施設設置予定地を不覚にも除外してしまつた結果、所定の期限内の用地取得が不可能となり、かかる事態に対処するため、四千メートル滑走路の南側に設置されるべき進入灯などの航空保安施設を七百五十メートル内側へ移設せざるを得なくなり、航空法第五十五条の三第一項で義務づけられている工事実施計画の認可を運輸大臣より受けることなく、右移設工事を違法に行つた。
 かかる事実に鑑み、航空法の運用に職責を有する運輸大臣の御見解を賜りたい。

一 四千メートル滑走路南側の着陸接地点を七百五十メートル内側に移して同滑走路を運用するために移設された航空保安施設の種類を、航空保安無線施設及び飛行場灯火の別に明らかにし、それらの施設の種類毎に、それら施設の移設工事に着手した年月日、工事が完成した年月日並びに航空法第五十五条の三第一項による工事実施計画の認可を申請した年月日及び同認可を受けた年月日を明らかにされたい。

二 右移設工事に係る飛行場灯火に関していえば、航空法第五十五条の三第一項で規定される工事実施計画の変更認可に係る申請手続きを定める運輸省令は、同法施行規則第百二十一条の二としてよいのではないのか。しからざれば、その理由を明らかにされたい。

三 航空法施行規則第百二十一条の二を適用除外とする規定が、航空法施行規則にあれば、その条項及び内容を明らかにされたい。

四 航空法第三十九条第一項第一号の要件として運輸省令で定められる飛行場灯火の設置基準が、同法施行規則第百十七条第一項に定められ、同条第二項は同設置基準の特例に関する手続きを定めている。

(1) 同規則第百十七条は、航空法第三十九条第一項第一号の要件として飛行場灯火に関する設置基準を運輸省令で定めたものとしてよいのではないのか。しからざれば、その理由を明らかにされたい。
(2) 同規則第百十七条第二項は、同第一項の但し書き的な法文上の形態をもつて、同第一項の特例に関する手続きを定めたものとしてよいのではないのか。しからざれば、その理由を明らかにされたい。
(3) 同規則第百十七条第二項は、法文上の構成形態からしても、手続き内容からしても、同規則第百二十一条の二の特例に関する手続きを定めたものではないとしてよいのではないのか。
 しからざれば、その理由を明らかにされたい。
(4) 同規則第百二十一条の二の特例に関する手続きを定める必要があるとすれば、同条に第二項を新設するか。または同規則第百二十一条の三を新設して処理する方が妥当適正ではないのか。しからざれば、その理由を明らかにされたい。

五 航空法第三十九条第一項第一号は、航空法第五十五条の三第一項の特例を定めたものとはいえないのではないのか。しからざれば、その理由を明らかにされたい。

六 航空保安施設設置予定地を除外するという起業地計画の失敗が、本件無認可工事の発生という違法な事態をひきおこすもととなつたのではないのか。その他無認可工事が発生することとなつた原因を明らかにされたい。

七 それにしても、何故航空保安施設設置予定地を起業地の中に含めておかなかつたのか。

  右質問する。