質問主意書

第78回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第八号

内閣参質七八第八号

  昭和五十一年十月二十九日

内閣総理大臣 三木 武夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員中沢伊登子君提出人事訴訟手続法の改正に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員中沢伊登子君提出人事訴訟手続法の改正に関する質問に対する答弁書

 調停は、両当事者の話合いを基調とする合意に基づく紛争解決制度であるという特殊性から、調停事件の管轄については、現行家事審判法は、その事案に応じた弾力的運用を図るため、管轄に関する事項も最高裁判所規則に委任し、その委任に基づき、家事審判規則においては、事案に応じて最も調停のしやすい地の家庭裁判所において事件処理をすることができることとしている。
 すなわち、離婚調停事件は、原則的には、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄とされている(同規則第百二十九条)が、同規則第四条の規定により、例えば、夫の住所地の家庭裁判所に申し立てられた調停事件を必要に応じ、妻の住所地の家庭裁判所に移送することも、また、妻が離婚調停の申立てを自己の住所地の家庭裁判所にした場合に、その家庭裁判所が自ら事件の処理をすること(自庁処理)も認められているのである。
 右のように調停事件については、改正後の人事訴訟手続法による婚姻事件の訴えの管轄よりもより広い管轄が認められており、同規則第四条の規定により事件の移送又は自庁処理を行う等、弾力的運用が既にできることとなつているので、特に管轄につき、家事審判法の改正を要しないものと考える。