質問主意書

第78回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質七八第四号

  昭和五十一年十月二十九日

内閣総理大臣 三木 武夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員目黒今朝次郎君提出丸金証券株式会社の不当労働行為及び暴行事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員目黒今朝次郎君提出丸金証券株式会社の不当労働行為及び暴行事件に関する質問に対する答弁書

一について

 久松警察署においては、昭和五十一年三月以降、丸金証券労働組合側から十三件、丸金証券株式会社側から六件の告訴を受け、現在捜査中であり、このほか、組合側による不法事案について、昭和五十一年四月二十七日威力業務妨害罪で、同年六月二十八日暴力行為等処罰ニ関スル法律違反でそれぞれ検挙し、東京地方検察庁に送致済みであると聞いている。
 政府は、労使関係に対しては何ら介入するものではないが、暴力の行使等の不法事案に対しては、労使いずれが行つたものであれ、法に照らし厳正に取締りが行われるべきであると考える。

二について

 本紛争においては、組合から東京都地方労働委員会に対し五件の不当労働行為救済申立てが行われ、現在、同委員会において審理が進められていると聞いている。
 現行の不当労働行為制度は、使用者による不当労働行為を禁止して、一般的にその抑制・防止を図るとともに、不当労働行為があつた場合には、労働委員会においてそれがなかつたのと同様の状態に復させること等により、実質的に使用者による労働者の団結権等の侵害を排除し、健全な労使関係の確立を促進しようとするものであり、政府としては、過去二十数年の実績からみて、それ相当に機能しているものと考えている。

三について

 賃金カットについては、昭和五十年九月、組合員から中央労働基準監督署に対し、会社において労働基準法に違反する事実があるとの申告があつたので、同署において調査のうえ、同年十月、会社に対しその是正をするよう勧告を行い、是正させたところである。
 政府としては、今後とも、労働基準法等の遵守を図るため、強力に監督指導を行い、是正勧告に従わないような悪質な法違反に対しては、罰則の適用を含め、厳重に措置してまいりたい。

四について

 労働組合法では、使用者が、労働組合の正当な行為をしたこと等を理由として労働者に対して不利益な取扱いをすること、労働組合との団体交渉を正当な理由がなく拒むこと等を不当労働行為として禁止している。
 本紛争においては、組合から東京都地方労働委員会に対し五件の不当労働行為救済申立てが行われ、現在同委員会において審理が進められていると聞いているので、政府としては、不当労働行為があつたかどうかについての見解を述べることは差し控えたい。
 なお、政府としては、会社と組合との間において、本紛争の解決を含め、健全な労使関係が確立されることを期待している。

五について

 久松警察署が会社付近に警察官を常駐させ、組合員の行動を監視させている事実はないと聞いている。
 政府は、正当な労働組合運動に対しては介入すべきでないが、暴力の行使等の違法行為が行われた場合に、法の定めるところに従つて取締りを行うことは、当然の警察の責務であると考える。

六について

 労使紛争は、まず当事者間の話合いによつて自主的に解決されるべきであり、政府としては、本紛争についても、会社と組合との間で自主的な解決を図るべく一層の努力がされることを期待している。
 なお、警察官を社内に常駐させ、組合員の行動を監視させている事実はないと聞いている。

七について

 警察庁の指導方針に基づき、各都道府県公安委員会においては、警備業法第八条の規定に従い、労働組合の正当な活動に干渉するなどのことがないよう、講習会等により警備業者に対し一般的に指導しているほか、労働争議が発生している事業所等で警備業務が行われる場合には、当該警備業者に対して必要な指導監督を実施しているところであり、政府としては、今後もこの方針によつて警備業務の実施に当たつての労働争議への不当介入事案等の防止に努めていく所存である。

八について

 久松警察署においては、昭和五十一年七月二十一日に組合側から暴行、傷害罪等で十二件の告訴を受理し、現在参考人等の取調べ、実況見分等所要の捜査を行つていると聞いている。

九について

 大蔵省は、証券業務に関し証券会社を監督する立場にあるので、労使間の問題に直接介入することは適当でないと考える。