質問主意書

第78回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八号

人事訴訟手続法の改正に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十一年十月二十一日

中沢 伊登子   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   人事訴訟手続法の改正に関する質問主意書

 妻が離婚訴訟を遂行する為には、多くの場合、夫の住所地に出向かなければならない不便さがあるばかりでなく、証拠収集等の点からも、必ずしも合理的ではないとの理由から、先般、人事訴訟手続法の改正が行われ、婚姻事件の訴えは、まず、夫婦の共通の住所地の裁判所、次には、夫婦の最後の住所地の裁判所の管轄区域内に、夫又は妻が住所を有するときはその住所地の裁判所、更に、それ以外の場合には夫又は妻の住所地の裁判所の管轄に専属することとなつた。
 然るところ、一方、婚姻事件の訴えについては、家事審判法第十八条の規定により、調停前置主義が採用され、その訴えを起す前に必ず調停の申立をしなければならないこととし、この場合、家事審判規則第百二十九条は、管轄裁判所を原則として、相手方の住所地の家庭裁判所と定めており、この点については何ら改正が加えられていない。したがつて、妻が調停を申し立てる場合には、依然として多くの場合、夫の所在地に出向かなければならない不便等を避けがたくなつている。
 これがため、折角妻の便宜等を配慮して行われた人事訴訟手続法の改正が、龍頭蛇尾に終わり、現状のままでは実際上有名無実化するおそれがある。ついては、次の点に関して内閣としての御見解を承りたい。
 人事訴訟手続法の改正に関連して、家事審判法第十八条に新たな一項を設け、離婚にかかる調停事件の管轄についてのみは、前記法改正と同様の法文規定をするか、或いは家事審判規則第百二十九条の改正が行われるべきか、いずれかの措置が必要と思うが、内閣はどちらが妥当と考えるか。

  右質問する。