第78回国会(臨時会)
質問第四号
丸金証券株式会社の不当労働行為及び暴行事件に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和五十一年十月九日 目黒 今朝次郎
丸金証券株式会社の不当労働行為及び暴行事件に関する質問主意書 労働者の団結権、団体交渉権、争議権などは、日本国憲法、労働組合法により基本権として保障されている。今日、数多く見られる労働争議の大部分は労働基本権の保障をめぐつてのものであり、その解決がおくれる原因は、不当労働行為救済制度が十分に機能し得ないためと考えられる。
一 会社は幹部、職制、第二組合員、雇入れガードマンにより、組合員を恫喝するのみか、暴力を振い組合員に対し十五件にも及ぶ傷害事件を発生させている。かかる行為は労働問題以前の暴力事件として処理されるべきであると考えるがどうか。 二 組合側の就労、団交要求を拒否するだけでなく、ガードマンにより組合運動を弾圧して何等解決姿勢を会社側が示さないのは、地方労働委員会等による救済制度が現行制度では十分機能しないためと考えられる。政府は、現行制度で十分対処できると判断するか。 三 会社側は、昨年十月「ゼッケン着用」を理由に大幅な賃金カットを行い、中央労働基準監督署から是正勧告を受け、やむを得ずこれに従わざるを得ないなど、組合員に大きな犠牲を強いている。このような悪質な経営者に対し政府はどのように指導しようとするか。また、罰則を考慮する必要はないか。 四 会社側が組合員に対し、「自宅待機」の不当命令を出し、会社内への立入りを拒否すると共に、今日なお四十九年度の賃金を適用、一時金も支給しない、という差別扱いをしており、労組法第七条一号及び二号の定めに鑑み問題があると考えるが、政府の判断はどうか。 五 久松警察署は、会社附近に警察官を常駐させ、組合員の行動を監視しているのみか本年四月二十七日には、会社内で団体交渉を要求中の組合員二名を逮捕し、六月二十八日には、組合活動を理由(ビラ貼り行動)に三名を逮捕、うち一名を起訴する行動に出ている。このことは労働運動への不当な介入と考えるがどうか。
六 会社側は、本年四月より、組合側にも、社員に対してもその身分、氏名を明らかにしない公安刑事と見られる者を社内に常駐させ、組合員の行動を監視させている。このことは正当な組合活動を犯罪視することに端を発しているためと考えられる。政府はこのような故意に紛争を解決しようとしない会社側の態度をどのように認識しているのか。 七 会社側は、本年六月二十一日、帝国警備保障のガードマン五名を導入し、会社の出入口に待機させ、組合側の団交要求などの組合活動を直接妨害させるとともに、組合員に積極的に挑発させ、組合員に負傷を負わせるなどの暴力行為を働かせている。
八 組合は、会社側の一連の暴力事件について、本年七月二十一日、久松署に告訴しているが、捜査の処理状況はどのようになつているか。 九 丸金証券株式会社の直接の監督官庁である大蔵省の、本労働紛争問題についての指導方針を明らかにされたい。 右質問する。 |