質問主意書

第77回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参質七七第一三号

  昭和五十一年五月十八日

内閣総理大臣 三木 武夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員秦豊君提出防衛計画に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出防衛計画に関する質問に対する答弁書

一について

 四次防期間中の歳出予算ベースの防衛関係費は、昭和四十七~五十年度補正後予算額の累計で、四兆三、九三五億円であり、これに五十一年度予算額を加えると、総計五兆九、〇五八億円となる。また、四次防期間末における後年度負担額は五、七〇五億円である。
 したがつて、三次防期間末における後年度負担額(三、六三九億円)を四次防期間中の歳出予算額から差引き、これに四次防期間末における後年度負担額を加えた四次防期間中の契約ベースでの防衛関係費の総額は、六兆一、一二四億円となる。
 なお、四次防計画における経費見積り四兆六、三〇〇億円は、昭和四十七年度予算価格による歳出予算ベースの見積りであつて、年々の人件費のベースアップ分及び物件費の単価アップ分を含まないものである。

二について

 四次防計画の主要項目のうち、昭和五十年十二月三十日の国防会議及び同年十二月三十一日の閣議でその整備を取り止めたもの及びその当初計画に対する比率は次のとおりである。なお、金額については、五十一年度予算で調達が予定されていないものがあるので算定できない。

   主要項目   整備を取り止めた数量   当初計画に対する比率
(陸上自衛隊)
   戦車          三一両         一一%
   装甲車         六〇両         三五%
   自走火砲        七〇門         七八%
   作戦用航空機      一八機         一一%
(海上自衛隊)
   艦艇          一七隻         三一%
   作戦用航空機      一七機         一八%
(航空自衛隊)
   航空機         四二機         二〇%
   地対空誘導弾ナイキJ   一群         四〇%

三について

 四次防は、経済財政事情の大幅な変動等により、主要項目のかなりの部分が達成できないこととなつたが、この結果、四次防の整備方針である周辺海域防衛能力及び重要地域防空能力の強化、各種機動力の増強、教育訓練体制及び後方支援体制の強化等に影響が出ることになる。

四について

 機甲部隊の戦車操縦士等の要員養成期間は、一般に次のとおりである。(戦車長、指揮官及び艦長については、これのみの要員養成期間というものはないので、当該職につくまでの平均期間を掲げたものである。)

(一) 機甲部隊の戦車操縦士                   約五年
(二) 機甲部隊の戦車長                    約十八年
(三) 機甲部隊の指揮官      (小隊長)          約二年
                  (中隊長)          約八年
                  (大隊長)        約二十一年
(四) 艦長            (護衛艦)    約十六年~約十九年
                  (潜水艦)         約十五年
(五) ジェット・パイロット   (F-86F)       約四・五年
                 (F-104J)        約六年
                 (F-4EJ)         約六年
(六) 地対空ミサイル要員                約二年~約五年
(七) レーダーサイト要員                    約二年
(八) ソナー要員                      約七・五年
  (注) (一)、(二)、(六)、(七)及び(八)は、自衛隊入隊時から起算
      (三)及び(四)は、大学又は防衛大学校卒業後から起算
      (五)は、航空学生採用時から起算

五について

 予備自衛官の定員は三九、六〇〇人で、昭和五十年度末現員は三八、二六二人である。

六について

 自衛隊の業務の合理化を図るため、部外委託の可能な業務について、その範囲を拡大すること等につき検討を始めたばかりであり、その内容については現在説明できる段階にはない。

七について

 四次防では、陸・海・空自衛隊の有機的協力体制を進め、自衛隊の総合的運用効果を高めるよう配慮することとしており、その一環として現在、統幕の機構等についても検討をしているが、未だ成案は得ていない。
 統合幕僚学校の拡充については、現在、研究中であるが、統合教育の強化全体の問題については、差し当たり、各自衛隊幹部学校の指揮幕僚課程において、他自衛隊の戦術運用の原則、特色等の教育を強化するなどの方法を検討している。

八について

 昭和五十二年度以後の防衛力整備計画は、昭和五十二年度予算編成時までに決めたいと考えている。

九について

 艦艇の就役期間は、艦種別の命数基準をもとに、各艦艇の老朽度等を勘案して決められるものである。
 現段階において、昭和五十二年度以降の五年間に除籍が見込まれている艦艇は、おおむね次のとおりである。

   護衛艦      二隻      約三、四〇〇トン
   潜水艦      五隻      約四、六〇〇トン
   駆潜艇     一〇隻      約四、〇〇〇トン
   掃海艇      二隻        約七〇〇トン
   その他      七隻      約二、〇〇〇トン
    計      二六隻     約一四、七〇〇トン