第76回国会(臨時会)
答弁書第二号
内閣参質七六第二号 昭和五十年十月三日 内閣総理大臣 三木 武夫
参議院議員峯山昭範君提出身体障害者の雇用確保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員峯山昭範君提出身体障害者の雇用確保に関する質問に対する答弁書 一、について 身体障害者が健常者に伍して働き、社会経済活動に参加し得るようにすることは身体障害者対策の最重点課題であるとの認識に立つて、政府においては、従来から身体障害者雇用促進法に基づく身体障害者雇用率制度を中心として各種の施策を講じてきたところであり、事業主をはじめ国民各層における身体障害者の雇用促進についての理解は相当の前進をみてきた。
二、について 昭和四十八年十月現在において身体障害者雇用率を達成していなかつた政府機関は十機関であつたが、昭和四十九年十月現在においては六機関となつた。未達成機関においては、身体障害者の採用に関する計画を作成するとともに、人事担当課長会議を開き、相互の情報交換、雇用促進のための協議を進め、身体障害者の採用に鋭意努力しているところである。
三、について 昭和四十八年の労働省の「心身障害者就業実態調査」によると、中度及び重度の身体障害者の就業率は、それぞれ六十三・五パーセント、四十五・一パーセントとなつており、国民全体の就業率七十一・二パーセントに比し、特に重度障害者の就業率が低い状況にある。
四、について 身体障害者雇用促進法第十四条の規定に基づく身体障害者の雇入れに関する計画の作成の命令については、本年二月、作成を命ずる場合の基準を改正し、その積極的な活用を図ることとしたところであり、今後とも、この制度を活用して身体障害者雇用率未達成事業所に対し、身体障害者の雇入れについて強力に指導してまいりたい。 五、について 現行の身体障害者雇用率制度が事業所単位に適用されていることにより御指摘のような問題点もみられるが、企業単位に雇用率を適用した場合には、多数の事業所を有する企業について個別の事業所の雇用率のは握やこれに対する指導が困難になる等技術的な問題が生ずることもあり、今後慎重に検討を進めてまいりたい。 六、について 精神薄弱者については、御指摘のとおり、その判定が困難であること、労働能力の評価方法も確立されていないこと、その適職の範囲は身体障害者以上に限定されていること等の問題が存在しているので、今後は、これらの問題の解決に努めるとともに、その改善状況を見まもりつつ、従来から行われてきた各種の雇用助成措置の活用を図る等により、精神薄弱者の雇用の促進に努めてまいりたい。 七、について 身体障害者の雇用促進を図るためには、事業主が積極的意欲をもつて身体障害者を雇用し得るように事業主に対して助成措置を講ずることが必要であるという観点から、従来より心身障害者雇用奨励金の支給、身体障害者作業施設等設置資金の融資等事業主に対する雇用助成措置の強化に努めてきたところであるが、今後とも、これらの雇用助成措置の一層の充実に努めてまいりたい。 八、について 職場適応訓練の訓練手当及び委託費については、従来から額の引上げ、重度の身体障害者に係る委託費の加算等逐次改善措置を講じてきたところであるが、今後とも引き続き職場適応訓練制度の充実に努めてまいりたい。 九、について 身体障害者の職業訓練については、従来から身体障害者職業訓練校の設置、訓練科の増設、訓練期間の延長等の措置を講じてきたところであるが、今後とも引き続き身体障害者の職業訓練実施体制の充実に努めてまいりたい。特に重度障害者の能力開発については、職業評価から職業訓練、職業指導等に至るまでの一貫した職業リハビリテーションを行う国立職業リハビリテーションセンター(仮称)の設立の具体化を進めているところであり、今後ともその対策の充実に努めてまいりたい。 十、について 心身障害児に対する教育については、人間尊重の精神、教育の機会均等の理念から、これら児童・生徒に対し、教育の場を準備し、その心身の状態と適性等に応じた教育を実施するとともに、その教育活動として障害をもたない児童・生徒との交流を積極的に進めている。また、障害をもたない児童・生徒に対しても、学校教育全体を通じて心身障害児に対する理解を深めるよう指導しているところである。 |