質問主意書

第76回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一五号

従軍日赤看護婦の処遇に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十年十月二十九日

二宮 文造   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   従軍日赤看護婦の処遇に関する質問主意書

 日華事変及び太平洋戦争において、戦地勤務に服した日本赤十字社の救護看護婦(以下従軍日赤看護婦)については、現在、これらの者のうち、恩給公務員に相当する看護婦長等で、公務員期間を有する者は恩給法において、又現行共済組合の組合員となつた者は官吏及び雇用人相当の者を含めて共済組合法において、それぞれ処遇が行われている。
 一方、戦傷病者戦没者遺族等援護法においては、従軍日赤看護婦は同法の軍属又は準軍属として取り扱かわれ、これらの遺族には遺族年金を、戦傷病者には障害年金を支給する等の処遇が行われている。
 しかし、公務員期間を有しない者、又は戦没者、戦傷病者以外の者については、何らの国家処遇がなされていない現状である。
 ことに従軍日赤看護婦で公務員期間を有しない者の中には、敗戦後相当の期間外地に留まらざるをえなかつたため、帰国後公務員となる機会を逸した者も多いといわれており、これらの者は、若い働き盛りを戦争の犠牲となつた上に、今日なお、国家補償がないまま老後の生活不安を余儀なくされているのが実情である。
 最近における恩給法等の改善は著しく、その社会政策的改善内容とともに、対象者の拡大等が行われている現状からも、国の強い要請に基づき戦時召集状によつて動員され、第一線の陸海軍病院等において軍人同様の激務に挺身された約三万三千名といわれる従軍日赤看護婦については、その特別の事情を考慮して、これらの者の当該期間は公務員期間とみなして、恩給法を適用し、同法に基づく処遇を行うことが、当然の国家責務と考えるものである。
 これに対する具体的措置について、政府の積極的な所信を承りたい。

  右質問する。