質問主意書

第76回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一号

沖繩の復帰前の民間車検所(指定検査人)の取扱いに関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十年九月二十日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   沖繩の復帰前の民間車検所(指定検査人)の取扱いに関する再質問主意書

 昭和五十年六月十六日に、沖繩の復帰前の民間車検所(指定検査人)の取扱いに関する質問をし、それに対する答弁を得たが、その答弁内容に納得できない点があるので、改めて質問する。

一、本土復帰により、車両検査による自動車の安全性の公証を専ら国が行うこととしたことに伴い指定検査人及びその従業員が経済的な不利益を被つても、国にその損失の補償義務はないと政府はいうが、その法的根拠は何か。
 米国の施政権下で、指定検査人及びその従業員は二十年間政府の公的代行機関として業務を遂行して来たが、復帰により制度が変わつたために失業したのである。したがつて、その経済的損失を、国は補償すべきではないか。
 また、自由業であつた軍雇用員(第一種から第四種まで)、営利事業であるたばこ製造業者、製塩業者、通関業者及びその従業員に対しては補償がなされた。ところが、法によつて指定され政府の代行機関として業務を遂行してきた指定検査人及びその従業員に対しては前述のように補償の義務がないというが、補償された前者と補償されない後者との法的根拠の相違はどこにあるのか示して貰いたい。

二、政府は、二か年の経過措置について、指定検査人の転廃業の円滑な実施を図ることをも考慮したというが、経過措置期間中、指定検査人の転廃業について行政指導を行つたことがあるか。あるというのなら、何時、誰に対し、いかなる行政指導を行つたか示して貰いたい。
 また、政府は当該経過措置を補償に代わる措置としたのか。仮にしたというのなら、本来の補償に代わる措置をするときは、相手方との合意に基づいて行われるべきものと考えるが、国は指定検査人との合意に基づいて行つたのか。もし合意なしに行つたのであれば、補償としての意味はないと思われるがどうか。

三、国は、法制度の変更に伴う関係人の不利益をできるだけ防止するために、指定検査人に対して指定自動車整備事業者の事業場の自動車検査員となることができる資格付与の措置を講じたというが、それが補償の代価だとするなら、指定検査人の要求があつたからなのか。仮に要求がなかつたというのなら、指定検査人の承諾が必要だつたと思われるが、承諾は得たのか。

四、整備工場への転業と転業資金については、沖繩の自動車検査所は本土の指定整備工場とは根本的に違うため、転業は容易でなく、また多額の資金を必要とすると聞いている。沖繩振興開発金融公庫の転業資金の貸付も無条件ではない。したがつて、転業については、困難な事情があると思われるが、政府はこの事情をどう認識しているか。

五、政府は本土復帰によつて自動車登録番号標の規格が変更された結果従来の設備がそのままでは利用できなくなつたとしても、損失補償の義務があるとは考えないというが、番号標の規格の違いは、国が沖繩の施政権を放棄した結果から生じている。この責任が日本政府になければ、一体どこに責任があり補償義務があるのか、明確に答えて貰いたい。

  右質問する。