質問主意書

第75回国会(常会)

質問主意書


質問第二号

砒素汚染に係る農用地の土壌改良等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十年一月二十三日

小平 芳平   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   砒素汚染に係る農用地の土壌改良等に関する質問主意書

 砒素による健康被害の救済については、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法の政令が改正され、宮崎県土呂久地区、島根県笹ケ谷地区において、計五十名が既に慢性砒素中毒症患者に認定されている。また、通産省は砒素汚染に係る休廃止鉱山の鉱滓、ズリ等の処理対策を進めつつある。
 しかしながら、砒素汚染に係る農用地の改良等の面では、なんら対策が進められていないのが実情である。汚染地区の農民は、過去数十年にわたり、とくに稲作の極端な減収に悩まされ続けてきた。政府はこれら汚染地域の農用地の土壌改良事業に、早急にとりくむべきであると考える。
 ついては、次の諸点に関し、政府の方針を明らかにされたい。

一、政府は砒素に汚染された農用地の総面積は、全国でどのくらいあると推計しているか。(若し政府の資料がないということであれば、現実に被害者あるいは汚染地として苦情が提出されている現状からの推計でもよい。)

二、また汚染の濃度がどのくらいあれば、稲作の減収がどのくらいになると考えるか。さらに、このような農家の減収による損害は、いつ、誰によつて補償されるのか。

三、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律の「特定有害物質」への砒素の政令指定は、いつなされるのか。

四、砒素の汚染対策地域の指定基準・指定要件は、いつ決められるのか。

五、農用地土壌汚染対策の地域指定はいつ頃になり、土地改良事業はいつ頃開始され、いつ頃までに終了するのか。

六、植物等の食品に含まれる砒素の実態調査の終了時期及び規格基準決定の時期はいつ頃になるか。また、低濃度の砒素の長期摂取による人体への影響はどうなつているか。

  右質問する。