質問主意書

第74回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第五号

内閣参質七四第五号

  昭和四十九年十二月二十七日

内閣総理大臣 三木 武夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員喜屋武眞榮君提出在沖繩米軍基地関係の地籍問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員喜屋武眞榮君提出在沖繩米軍基地関係の地籍問題に関する質問に対する答弁書

一、二、及び三、について

 昭和四十九年十二月二十日現在沖繩県に所在する施設及び区域六十三のうち、土地の境界の確定を要すると認められるものは二十九施設であり、防衛施設庁において、昭和四十九年度中に施設及び区域内及びその周辺を含め、現況測量を完了する計画であり、その測量図を関係地主に提供して境界確定作業の促進の資料としたいと考えている。
 復帰後に返還された土地については、防衛施設庁において原状回復補償の一環として境界設定費を補償し、それにより関係土地所有者が境界確定作業を進めることになるが、その際、前記測量図も活用したいと考えている。なお、現在までに返還された土地で境界確定作業を要するものは、昭和四十七年度返還分において約五千平方メートル(補償済み)、昭和四十八年度返還分において約二・八平方キロメートル(うち、一・五平方キロメートル補償済み)、昭和四十九年度返還分において約六・〇平方キロメートルであり、面積合計約八・八平方キロメートル中、約一・五平方キロメートル(約十七%)の補償を実施している。未補償土地及び今後返還される施設及び区域についても引き続き同様の措置をとる所存である。
 また、施設及び区域(復帰後返還された土地を含む。)以外の地域に所在する境界不明土地については、沖繩開発庁に予算を計上し、沖繩県を通じて境界明確化のため所要の調査を実施しており、現在までに当該地域の概況は握、戦災前の航空写真等関係資料の収集を行つたが、昭和四十九年度中には全域(約十七平方キロメートル)について現況調査を終了する見込みであり、今後は関係市町村及び土地所有者の協力を得て、境界設定のための調査を実施し、これにより地籍の明確化を図る所存である。

四、について

 境界不明土地問題の対策を統一的に推進するため、中央に関係各省庁による「沖繩境界不明土地問題対策連絡会議」を、現地には、関係行政機関、沖繩県、関係市町村及び関係地主による「境界不明土地対策現地連絡会議」を設置しているところであり、また、沖繩県においても地籍問題対策協議会が設置されているので、これらの体制を十分活用し、問題の早期、円滑な解決に資する所存である。

五、について

 一、二、及び三、において述べたとおり現在の体制が実情に即したものと思われるので、当面はこの体制で処理を進めてまいりたい。

六、について

 跡地利用計画の促進については、政府としては、沖繩振興開発計画の促進及び国土利用計画法の趣旨に即し、県土の計画的利用を確保するため、長期的観点に立つて適正かつ合理的な利用が図られるよう今後とも沖繩県及び関係市町村に対して指導助言していく所存である。

七、について

 政府としては、沖繩県及び市町村の地元利用計画並びに地元住民の要望を踏まえ、かつ、日米安全保障条約の目的達成に配意しつつ、沖繩県における施設及び区域の整理統合問題に対処していく所存である。

八、について

 一般に、米軍に提供していた民有地が返還になつた場合、三か月を限度として、境界復元等に要する期間に対し、借料相当額の管理費を支払うことにしているが、沖繩においては特殊の事情があるので、三か月の限度にとらわれず、個々の実情を考慮の上、合理的な範囲内において支払対象期間を定める所存である。

九、について

 地籍調査のための基地内立入りは復帰前から米軍の許可を得て行われており、今後、本格的に調査が行われる場合に必要な立入りについては、具体的な計画に基づいて米軍に折衝する所存である。

一〇、について

 沖繩における境界不明土地に係る調査費等の昭和五十年度予算の概算要求においては、沖繩開発庁が境界確定のための基礎資料の作成等の調査費約九千二百万円、防衛施設庁が原状回復補償費の一環として境界設定費約五千万円をそれぞれ要求している。

一一、について

 自衛隊施設への転用の意図をもつて故意に調査を遅延させているような事実は全くない。遅延の原因は戦前の公簿、公図の滅失及び土地の形質変更等により境界の復元が著しく困難となつていること等のためである。
 なお、本件は私権に係る問題であるところから行政機関の調整には限度があるためでもある。