質問主意書

第72回国会(常会)

答弁書


答弁書第五号

内閣参質七二第五号

  昭和四十九年二月五日

内閣総理大臣 田中 角榮   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員須原昭二君提出家族計画の指導方法の改善と経口避妊薬の承認に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員須原昭二君提出家族計画の指導方法の改善と経口避妊薬の承認に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の経口避妊薬については、長期間にわたり連用する場合には、ときとして重篤な副作用(血栓性静脈炎、肺動脈塞栓症等)が起こるおそれがあり、安全性についてなお疑問があるので、現段階では経口避妊薬を認める考えはない。

二について

 御指摘の国際家族計画連盟中央医学委員会の報告(一九七〇年)はむしろ経口避妊薬により、まれではあるが、血栓症発生のおそれがあることを前提として、その使用について注意を喚起しているものと解され、また、英国医薬品安全性委員会の経口避妊薬の発ガン性試験に関する報告(一九七二年)においても、なお検討を継続する必要があるとしている。
 昭和四十八年十二月十一日付の答弁書で述べたとおり、女性ホルモン製剤については、医師の専門的判断のもとにおいてのみ使用することが認められており、これが承認されている効能効果以外の目的に使用された場合の副作用等の個別的なケースについては、行政的には握していない。

三について

 薬事法による医薬品の承認に当たつては、医薬品の有効性と安全性とを含めた当該医薬品の総合的有用性に着目して、効能効果等を定めているが、これは使用者に一般的な使用基準を示すものとしての性格を有する。
 したがつて、医薬品の製造業者、販売業者等が、その製造、販売等に係る医薬品について、薬事法により承認を受けた効能効果以外の効能効果を標ぼうすることは法の禁ずるところである。
 しかしながら、医薬品の使用者がその判断と責任において、薬事法により承認されている効能効果以外の効能効果に着目して医薬品を使用することは法の禁ずるところではない。

四について

 昭和四十八年十二月十一日付の答弁書の趣旨は医師の処方せん又は指示があれば薬局等において女性ホルモン製剤を購入することができ、かつ、これが実現のためには医薬分業が行われることが必要であることを述べたものである。
 医薬分業の推進の方策については、五年後の実施を目途として診療報酬体系の改善、薬局の受入れ体制を整備する等の基礎的条件を整えるとともにその必要性を周知徹底し、国民的合意を得ることに力を注いでまいりたい。