質問主意書

第72回国会(常会)

質問主意書


質問第一七号

身体障害者の福祉対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十九年六月一日

塩出 啓典   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   身体障害者の福祉対策に関する質問主意書

 不慮の事故により、障害者となつた人達の福祉の向上について、国が充分なる援助を行うべきことは心身障害者対策基本法、身体障害者福祉法等に示すとおり明らかである。
 本国会に於いても、種々の制度改正が行われ、身障者対策が一歩ずつ前進していることを認めるにやぶさかではないが、まだまだ、不充分である。
 この様な立場から、ただちに実施すべきと思われる諸点について質問主意書を提出するものである。以下質問事項に対し誠実なる政府見解を求める。

一、国鉄乗車券購入手続の簡素化

 国有鉄道の旅客運賃割引制度があるが、障害者が旅行する場合、まず福祉事務所、町村役場へ行き割引証を受け、それから駅の窓口で購入することになつており、直接乗車した時は割引されないことになる。
 役所と駅が近くにあればともかく、離れているときは障害者にとつて負担となつている現状である。したがつて、身体障害者手帳には写真もはつてあるので、直接、身体障害者手帳で車中割引することを考えてはどうか。

二、国有鉄道の運賃割引の適用拡大等

イ、身体障害者は、運賃規則で割引が行われているが、内部障害者が適用除外となつている。同じように適用すべきではないか。
ロ、昭和二十四年制定の身体障害者福祉法の第五十条で国有鉄道の普通旅客運賃等は、「政令の定める身体障害者で介護者を同行しなければ乗車又は乗船することの困難な者が介護者を同行する場合には、当該身体障害者及び介護者につきそれぞれ半額とする。」となつているが、二十五年も経過しているのに政令が定められていないのは、政府の怠慢ではないか。その理由を伺いたい。
ハ、また百キロ未満も当然割引すべきではないか。

三、駐車禁止除外指定車標章の全国通用

 障害者にとつて自動車は足である。身体障害者の駐車禁止除外指定標章が県によつてまちまちである。また、駐車禁止除外指定標章を県によつては出していないところもある。その実態はどうか。
 次に、その標章は県外では使えない。これを全国に通用するための国の考えはないか。

四、脊髄損傷者が入院している病院においては、脊髄患者四名につき一名の付添婦が配置されている。
 しかし脊髄患者にも、下半身不随の方もあれば、全身不随の方もおられる。その点、患者の容態に応じ、付添婦の配置と増加を考慮すべきではないか。

五、労災保険における各種の保険給付の引き上げが必要なことは勿論であるが、とくに、障害補償給付において受傷年月の新旧によつて格差が大きいことも大きな問題である。この格差をなくすため、政府は、今後、どの様な対策を考えてゆくのか。

  右質問する。