質問主意書

第72回国会(常会)

質問主意書


質問第九号

中外電工富山工場における不当労働行為、人権じゆうりん問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十九年三月十一日

阿具根 登   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   中外電工富山工場における不当労働行為、人権じゆうりん問題に関する質問主意書

 東京都中央区日本橋茅場町二丁目十三ノ二番地に本社を置く株式会社中外電気工業(代表取締役社長田中靖一、以下会社という)は、十年前に富山県西砺波郡福光町に同町工場誘致条例第一号工場として進出した。以来「ドレイ」的ともいえる劣悪な労働条件で労働者を働かせ、それについて改善を要求する富山福光町当該工場の労働者約九〇名が昭和四十七年七月二十四日に総評全国金属労働組合(以下全金という)に加盟をするとただちに数々の不当労働行為、労働基準法違反、人権侵害の暴力行為をつづけ、社会的批判が高まつているにもかかわらず引きつづき不当、不法行為がくりかえされている。
 全国金属労組中外電工支部に対するこの会社の暴力的労務管理を中心とする不法行為は、地域社会問題となつており早急に解決を求めている現状である。
 全国的に労組および労働組合員に対する不法、違法行為を行う企業が続発しており、行政上放置できない事態に立ち至つている。現に違法行為を継続しているこの中外電工株式会社に対して、政府は適切な行政指導を迅速かつ強力に行う必要性がある。政府の見解と従来とつて来た措置ならびに今後とられる行政措置について伺いたい。

一、会社創立(富山工場昭和三十八年七月)以来約十年間に亘つて年少労働者(十七歳)を残業中に死亡させる事故(昭和四十六年二月)を始め、労働災害多発企業として、或いは労働基準法違反工場として関係方面から要注意会社として注目されて来た。しかも前記のような隠しきれぬ重大災害を除きその大半が労災法を適用せず健康保険としての取扱いを強要された。極端な事例として、プレスマシンで指先を切断した女子労働者に対し会社は「ナタかなんかで家で切つたことにして呉れ」といつてそのように強制実施した事実も組合結成(昭和四十七年七月)に始めて当該本人から明らかにされた。
 他の労働者五名の業務上負傷に対しても会社は健康保険による手当をするよう強制実施した。これに対し全金中外電工支部が砺波労働基準監督署に対し申告を行つた。これは明らかに労基法違反行為と考えるが政府の見解を伺いたい。

二、会社の労務管理はどうなつているか。左の諸点について伺いたい。

1 休憩時間の自由使用禁止措置について
2 朝礼参加の強制(妊婦の長時間参加等)について
3 労働誓約書提出の強要について
4 組合員作業態様監視度合いについて
5 暴力的作業強制について
6 職場安全衛生管理改善について

三、会社は全金中央本部・支部との団体交渉を拒否し不当な差別扱いをしているが当局は如何なる指導をなされたか伺いたい。

1 賃金、期末手当の差別について
2 懲戒処分等の懲戒権濫用の事実について

四、右の具体的事実にもとづいて当該組合は昭和四十八年十一月砺波労働基準監督署に申告しているが適正、公正な指導がなされてないこと、また、同様当該組合は昭和四十九年二月富山地方法務局砺波支部にも訴えを提出しているがこれらについて政府の見解を伺いたい。

  右質問する。