質問主意書

第72回国会(常会)

質問主意書


質問第八号

未熟児網膜症の予防及び治療体制に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十九年二月二十七日

小平 芳平   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   未熟児網膜症の予防及び治療体制に関する質問主意書

 未熟児網膜症の発生率は、未熟児一〇〇人に三人の割合(二・九%)と推計されている。わが国においては、二五、六一八人の低体重児が届けられているから(昭和四十六年度)年間七〇〇人もの未熟児の罹患が予想されることになる。しかも、この疾患は、治療の機を逸すると失明に至るものである。従つて、その発生率の高さにおいて、また障害の重さにおいて看過することのできない悲惨な疾患である。
 しかし、最近の眼科医学は、これを早期に発見し、適当な時期に適切な治療を行えば、大部分(九〇%)は予防することができ、少なくとも失明に至ることを阻止することができるようになつた。
 にもかかわらず、わが国における未熟児網膜症の発生が跡を絶たないでいることは、まことに憂うべき事態といわなければならない。
 そこで、次の諸点について、政府の対策をただしたい。

一、昭和四十七年四月の朝日新聞(長崎版)には、島田晋厚生省母子衛生課長の談として、“できるだけ早く調査を終え、保険診療や養育医療給付の対象にして、治療法の普及および患者側の負担軽減をはかりたい”という記事が載つているが、その後現在までにとつてきた措置経過を示されたい。

二、未熟児について、生後三~四週から三ケ月まで、週一回の割合で眼底検査を定期的に行うことにすれば、早期に発見することが可能であるとされている。保育器を備えている医療機関に対してはそのような定期的眼底検査を義務づけるべきであると考えるがどうか。

三、未熟児の眼底検査は、専門の眼科医があたる必要があるとされている。そのためには眼科医と産科医、小児科医との連携体制を整えることが前提にならなければならないが、どういう施策を用意しているか。

四、未熟児網膜症には、生後一年以内に適切な治療を行う必要がある。その中で最も効果のある療法として光凝固療法があげられているが、その装置を保有している病院は九〇弱でしかない。これでは七〇〇人の患児に対してあまりにも少なすぎるのみならず、県内に一つもないという地域すらある。
 未熟児網膜症の治療対策としての整備計画をどのように樹てているか。

五、光凝固療法の装置には八〇〇万円~一、〇〇〇万円を要するというから、その整備を急速に進めるためには、なんらかの助成が必要であると考えるがどうなつているか。

六、全国的に治療体制が整備されるまでの経過措置としては、装置を保有する医療機関と保有していない医療機関との間の連携体制(ネットワーク)が必要であるが、その対策をどう考えているか。

七、未熟児療育体制の不備が原因で発生してきた被害者の救済について、政府はどういう措置を講ずるのか。

八、未熟児の療育及び網膜症の予防治療に要する費用について、公費負担の範囲と負担区分(保険と公費)とを念のため伺つておきたい。

  右質問する。