質問主意書

第72回国会(常会)

質問主意書


質問第二号

カネミ油症の救済の現状と今後の方針の確立に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十八年十二月三日

内田 善利   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   カネミ油症の救済の現状と今後の方針の確立に関する質問主意書

 昭和四十七年七月十一日、小平芳平君より提出された「カネミ油症患者の救済に関する質問主意書」に対する内閣の答弁書によつて、カネミ油症患者の救済対策が一部明らかになつたとはいえ、いまだ不充分であり、不明確な点が多く残されている。
 しかも、この間において、油症患者の病状はその治療方法も解明されず、生活の実態は好転するどころかむしろ、その不安と窮状はその深刻さを増大している実情にある。
 したがつて、カネミ油症の実態を明らかに把握し、今後の救済対策を早急に推進する必要性を痛感する。以下、質問事項について具体的に答弁されたい。

1 カネミ倉庫(株)の食用油の生産量等

(1) 食用油の年次別生産量そのうち、とくに油症に影響を及ぼした油の生産量
(2) (1)の生産量のうち、地域別出荷量、(1)、(2)については、商品名、販売先を明記すること
(3) 油症事件発生後の食用油の回収量

2 油症患者の発生状況等

(1) 年次別、地域別、性別、認定患者数および未認定患者数
(2) 現在の患者の実態(通院、入院、症度別)

3 住民の健康調査、治療、研究の実態および方針

(1) 住民の健康調査の実施の経緯

イ 対象人員
ロ 精密検査対象人員
ハ 認定患者数

(2) 治療、研究の実態および方針

イ 治療の方法、治療の成果
ロ 治療のための医療機関の態勢
ハ 治療費の負担区分
(医療研究費、社会保険、カネミ倉庫(株)患者の各別)
ニ 研究体制

a 研究機関名
b 研究費の額
c 研究の責任分担
(国、地方公共団体)

ホ 診断基準再検討の結果

4 未認定患者に対する健康調査の実施状況(その結果をも含む)と今後の方針等

(1) 未認定患者に対する健康調査実施計画および方針
(2) 昭和四十三年二月十四日前後の油の分析の実施の有無、発症との関係究明
(3) 新診断基準実施後の認定患者数

5 油症患者に対する補償の経緯および現状

(1) カネミ倉庫(株)と患者との交渉の経緯
(2) 補償金額
(3) 交渉の現状、患者要求と会社側の主張
(4) 行政による斡旋の現状と今後の方針

6 食品公害に対する救済制度の法制化

(1) 公害健康被害補償制度と区別する理由
(2) 食品衛生の観点からの新救済制度の立法化の検討の経緯およびその実現の時期
(民事責任を原則とする医療、生活、補償制度について)

  右質問する。