第71回国会(特別会)
質問第二七号 中南米移住者の援護助成に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和四十八年九月二十七日 喜屋武 眞榮 参議院議長 河野 謙三 殿 中南米移住者の援護助成に関する質問主意書 中南米移住者は、諸種の悪条件を克服しながら開拓の先駆的役割を果し、その国の発展に貢献し、もつて国際社会におけるわが国の地位向上、国際協力と友好親善に大きく寄与しており、これら移住者の援護助成については政府の政策上も重視しなければならないと考える。 一、中南米移住者の事業及び生活一般に対する政府の基本的政策を伺いたい。 二、わが国の中南米諸国への移住人口(二、三世を含む)を国別に明らかにされたい。また、出身県別の数はどうなつているか。 三、現在、移住者の戸籍事務はどこで行つているか。政府の責任において戸籍の整備を行うべきである。 四、海外移住事業団の事業について 1 「事業内容」について伺いたい。 2 融資状況と融資を受けることのできる資格について、各事業ごとに詳しく伺いたい。 3 綿花を主体としているボリビアでは、事業団の融資は主に繰綿工場の基本設備、機械購入費に充当され、一般綿作者の営農費としてはごくわずかで、またそれ以外の営農者には全く融資されていないという。 そこで、事業団の融資資金の増額と対象を拡大し、長期低利で綿作者及びそれ以外の営農者にも営農資金の融資が受けられるようにすべきと思うがどうか。 五、教育施設及び研修制度について 1 中・高等学校への日系人の就学率がかなり低い。その原因は何と考えるか。 2 移住地における教育施設の整備はどこの責任でなされているか。ボリビアでは校舎、机、腰掛から教師の確保まで直接移住者たちの手によつて行われている例がある。 政府は直営移住地、集団移住地を問わず施設面については、相手国教育行政の補完的任務にとどまらないで、責任をもつて対処すべきであると思うがどうか。 3 母国を離れても二、三世に対する日本語教育は重要であるにもかかわらず、教師の派遣、教材の支給についての政府の施策は大へん不充分である。もつと強力に助成すべきではないか。 4 移住者のリーダー養成、技術研修のため国費留学の制度を講じ、わが国の国立大学等の機関での研修の道を開くべきであると考える。さらに、現在一部で行われてる県費研修生の招聘に対し補助を与えるべきであると思うがどうか。 六、ボリビア移住関係について ボリビア移住は戦後の開拓移住のため、ブラジル、アルゼンチン、ペルーなどと異なつており、特別な援護対策が必要である。 1 サンタ・クルーズの領事事務所を領事館に昇格し、移住者の保護を強化してはどうか。 2 現在進行中の「移住地整備計画」における住宅、学校、学生寮、道路、電気、水道等の実施計画(完成するまでの)を明らかにされたい。当計画について、現地では大へんスローモーであるとの意見がある。 そこで、当計画の事業予算を増額し、実施期間をもつと短縮できないか。 3 米国ユタ大学などの「灌漑・無灌漑別作物栽培比較」によると、灌漑施設を完備すると綿花をはじめ果樹、蔬菜等の収獲が現在の二、三倍に増えることが実証されている。 そこで、灌漑施設等多目的ダムの建設が強く要望されているが、政府の計画に検討されているか。 4 配分地の区画、区分が不明確のためトラブルの生じているところがある。政府は区画、区分の明確化について、直ちにボリビア政府と協議し、農業経営に不安のないようにすべきではないか。 七、海外移住者の実態調査について 1 移住者の事業及び生活の実態があまりにも知らされていない。政府は、どの機関でこれらの実態調査を行つているか。 またどのような方法で国民に知らせているのか。国民への広報をもつと強めるべきである。 2 政府は、中南米移住国に対し早急に調査団を派遣すべきである。その計画があるか。 右質問する。 |