第71回国会(特別会)
質問第二二号 中南米移住者の実態及び対策に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和四十八年九月十三日 植木 光教 参議院議長 河野 謙三 殿 中南米移住者の実態及び対策に関する質問主意書 一、政府の手によつて中南米に移住した者の実態について 戦後外務省・農林省・日本海外協会連合会・海外移住事業団等政府及び政府関係機関により日本国民が移住した中南米のうち、サンパウロ、ブエノスアイレス及びその近辺等の既存文化圏を除く地区においては、その状況が甚しく劣悪であると伝えられているが、次の諸点に関し各移住地毎にその実態を明らかにされたい。 1 定着率 (移住後の出生、分家等を除く移住者について) 2 所得水準 (所得階層分布及び現金収入等) 3 所得水準の推移 4 生活水準 (住宅・電気等生活環境及び栄養状況等) 5 子弟の教育状況 (入植当初からの就学状況、進学状況、教育設備、教師の学力・待遇等) 6 疾病及び死亡 (主たる疾病、死亡の原因別分類、平均寿命) 7 雇用農業労働者として渡航した者の独立状況 (独立者の数または全体の中における割合、独立への平均年数、事業団による独立融資を受けた者の数及び金額等) 8 その他 (移住者の犯罪、行方不明等) 二、戦後中南米に移住したヨーロッパ人、たとえばオランダ・イタリア人について前項との比較においてその実態を明らかにされたい。 三、移住者の援護助成について 1 海外移住事業団の行つている営農融資の実情 (貸付総額、残高、償還状況等) 2 各移住地に今日まで支出した経費の総額と内訳の大要(間接費等を含む) 3 移住者が各移住地において一応の生産、生活状況の水準に達し、海外移住事業団が手を引ける時期の見通し。 4 3のために必要な予算の各移住地毎の見通し。 5 各移住地はすでに開設されて十年、十五年以上も経過しているが、そのように長期にわたり助成措置を行わねばならないということは、もはやその移住地が将来性をもたないと判定すべきではないか。 6 移住援護の予算をみると教育関係費は著しく少ないが、僻地の移住者の教育についてどのような方針をもつて臨んでいるのか。 7 貧困が長期間続き、今後も早急に改善の見込がなく、かつ、後続移住者も少ない現状では、すでに子弟は土人化し、将来ますます土人化が予想されるので、子弟の教育に対し緊急に最重点施策を講ずる必要があると考えるがその対策如何。 8 移住地において成功の見込がなく、かつ、本人が帰国の意志があるものについて、帰国のための特別な措置を講ずる考えはないか。あるとするならばその具体的方策如何。 四、移住地の将来性に対する専門的調査について 政府は国際経済、農業経済、中南米地域経済、開拓行政等の専門家チームを委嘱編成し、各移住地毎の将来性について、専門的調査診断を行わせる意図はないか。 五、移住行政の責任の明確化について 戦後の移住行政は外務省・農林省及び海外移住事業団等によつて行われているが、移住行政の最終責任はどの機関が負つているのか明確にされたい。 右質問する。 |