質問主意書

第71回国会(特別会)

質問主意書


質問第一八号

堀田製作所の不当労働行為に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十八年八月二十一日

辻  一彦      


       参議院議長 河野 謙三 殿



   堀田製作所の不当労働行為に関する質問主意書


 去る昭和四七年二月三日、福井県における第一の地場金属産業である株式会社堀田製作所が経営難に陥ち入り、県並びに福井銀行のあつせんにより、福井県鉄鋼協同組合理事長、武田機械、武田レース社長、武田実氏が再建のため経営肩代りを行つた。
 しかるに会社側の再建案は労働条件の一方的な切り下げが中心であつたため、労働組合の合意が得られなかつたにもかかわらず、これを押しつけようとして数々の不当労働行為が行われた。このことは福井地方裁判所においても認めているところである。五月八日、県のあつせんにより両者の和解が行われたが、それ以降も不当労働行為がつづけられたと考えられる。
 このような中で会社側は会社再建案に熱意を示さず、逆に経営肩代りの直後の四七年三月より同社敷地を含むゴルフ場(杉の木ゴルフ場)建設を計画し、これの建設に専念した。
 四七年一二月年末一時金を要求した組合は、会社側回答を不満としてストライキを行つた。福井地方労働委員会があつせん途中会社側は解散を通告し、四八年一月二四日に解散登記を行い、同月二七日に組合員の全員解雇を行つた。
 つづいて二月三日、組合員の自宅に退職金の一部を送附した。ところがその退職金が到着前の二月一日頃福井銀行行員がこれら組合員の自宅を訪問し、預金の勧誘と就職あつせんを申し入れ組合員に大きな動揺を与えた。
 組合は現在、これらの不当労働行為に対し、また会社の解散、解雇を無効として争つている。
 このような会社側並びに福井銀行の一連の行為は不当労働行為と団結権の侵害、また経営者の社会的責任の放棄としてみすごすことはできない。
 よつて次の諸点につき政府の明確な見解を問うものである。

一、政府は、県のあつせんによる和解の前後における堀田製作所の不当労働行為について、どのような事実があつたかを把握しているはずだが、その詳細を明らかにされたい。

二、県のあつせんにより堀田製作所再建のため経営肩代りした武田実氏は県鉄鋼協同組合の理事長として国より約十億円の融資をうけるなど社会的責任のある立場にあるにもかかわらず、ゴルフ場建設に専念するなど経営責任を放棄し、会社の解散と全員解雇など社会問題をひき起し多くの労働者を路頭に迷わし経営者の道義的責任さえも追及されるに至つているが、政府は積極的な行政指導を行う考えはないか。

三、県外より巨大な企業を誘致する臨海工業建設に熱中する県当局が地場金属産業として第一の施設と労働者を有した堀田製作所の解散、全員解雇という一方的な会社の行為をみすごすことに対し、地場産業育成の観点から行政指導の必要はないか。また、福井銀行の行為は、公共性ある金融機関のあるべき姿からみて問題があり、その社会的責任からみて政府は警告し指導すべきではないか。

  右質問する。