質問主意書

第68回国会(常会)

質問主意書


質問第一号

財政経済運営に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十七年一月二十四日

鈴木 一弘      


       参議院議長 河野 謙三 殿



   財政経済運営に関する質問主意書

一、戦後一貫してとられてきた輸出優先の政策が種々の国際的摩擦を生み出し、さらに、昨年末の大幅な対ドル・円切り上げに追いこまれた要因ともなつたこと等から考えてみるに、今後の経済運営は、国際経済と国内経済の調整と調和が不可欠な前提となると思うが、政府はどのような政策運営を目指しているか、まず総論的に伺いたい。

二、(1) つぎに政策運営の目標であるが、政府は国民総支出の各項目の増加率ならびに構成比をどのような姿にもつていこうとしているのか。
(2) また、輸出についてであるが、昭和四十三年度以降の輸出の急激な伸びが、各国から危険視されていることを考えると、その増加率を適度なものにしていく必要があろう。世界貿易の伸びの範囲内に輸出を抑制するなど具体的な施策の方向づけはどうするのか質したい。

三、わが国の財政経済の運用を福祉優先に切り替えることは、政府の公約であり、昭和四十七年度の予算編成方針でも「従来の発想を大きく転換」して編成するとうたわれている。
(1) 昭和四十七年度予算において、具体的な施策ならびに費目が、どのように福祉優先型に切り替えられたか詳細に伺いたい。
(2) 財政主導型の経済運営や福祉優先の政策運営には、長期、中期、短期の計画ないしは政策目標がなくては、到底その実効は期しがたいと思われるが、政府はどのような計画をたてて、政策転換を行なおうとしているのか示していただきたい。
(3) ことに、社会福祉、生活環境整備等について、具体的な計画数値を明らかにしてもらいたい。
(4) なお、財政主導型の経済運営、福祉優先の経済政策への転換と、「新経済社会発展計画」との関連、ならびに新しい経済計画の必要性の有無と、さらに、新経済計画を必要とした場合は、策定の時期について明らかにされたい。

四、財政主導型の経済運営や福祉優先の政策運営を推進するためには、当然、多額の財源を必要とするが、政府は長期、中期の財源対策をどのようにたてているか。
(1) 昭和四十七年度の当面の財源調達は、一兆九千五百億円の国債発行によつて賄なわれているが、今後とも国債に依存した財源調達を行なう考えかどうか。
(2) さらに、将来の国債依存率はどの程度を目標に運用していこうとしているのか。昭和四十二年十二月二十五日の財政制度審議会答申の依存率五パーセントは、昭和四十八年度以降の国債発行の目標とするのかどうか。
(3) また、昭和四十七年度発行国債の消化見通しと、財政資金対民間収支の見通しについてどのように見込んでいるか示していただきたい。

五、福祉優先の経済運営にとつて喫緊の重要課題は物価の安定である。昭和四十年代のわが国の消費者物価は政府の公約とは逆に、確実にしかも着実に上昇してきた。
 政府はこの物価問題にどう対処しようとするのか。ことに、地価対策、政府が関与できる各種料金(公共料金)等について、長期、短期にわけての具体的な対策と、さらに当面の昭和四十七年度の対策を伺いたい。

  右質問する。