質問主意書

第59回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質五九第一号
  昭和四十三年八月九日

内閣総理大臣 佐藤 榮作      


       参議院議長 重宗 雄三 殿

参議院議員黒柳明君提出東京都港区青山南町所在の国有地不当管理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員黒柳明君提出東京都港区青山南町所在の国有地不当管理に関する質問に対する答弁書

一について

 告発人藤田登の告発事実の要旨は、次のとおりである(被告発人万興業株式会社代表取締役柳井陽、告発年月日昭和四十一年十月二十七日)。
 被告発人は、昭和三十九年七月十八日ごろ公共用地である東京都港区青山南町三丁目九十五番地の九所在の土地二十一坪九合六勺を、情を知らない古木利夫に賃貸し、同人をして右土地上に鉄筋コンクリート建物建造のため基礎工事をさせ、もつてこれを侵奪した。
 東京地方検察庁は、右告発に基づき所要の捜査を遂げたが、被告発人に侵奪の犯意を認めることができないことが明らかとなり、その結果、昭和四十二年十二月二十二日不起訴処分に付している。

二について

 本件に係る国有財産は、建設省所管の公共用財産として、その管理については、国有財産法及び建設省所管国有財産取扱規則に基づいて都道府県知事に委任しているものであるが、この種の公共用財産は全国各地に散在し、しかも、ぼう大な数量に及ぶので必ずしも知事による管理の徹底が期せられていない。このため本件のごとく一時的に不法占拠の状態を現出したのは遺憾であるが、その後訴訟の提起等により不法状態を解消している。
 なお、公共用財産の管理の徹底を図るため、建設省においては、昭和四十二年度において「公共用財産実態調査」を行なう等逐次実態のは握に努め、さらに、昭和四十三年度からは、この種の公共用財産の管理費について、新たに国庫補助の制度を設ける一方、都道府県知事に対し、公共用財産の不法占拠等の防止のための監督を強化するよう指導している。

三について

 万興業株式会社の本件に係る行為は、宅地建物取引業法に規定する免許の取消等の処分事由には該当しないものと解する。