質問主意書

第59回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九号

公務員の給与改善に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十三年八月十日

二宮 文造      


       参議院議長 重宗 雄三 殿



   公務員の給与改善に関する質問主意書

一、近く提出が予定される人事院勧告による公務員の給与改善率は、新聞や衆議院内閣委員会における人事院総裁の答弁等からみて、八%を越えることは間違いないように思う。昨年度は本俸七%、諸手当を含めると七・九%の引上げだつたことと比較しても、それより大幅になることは確実である。そして所要財源は六百億円を軽くこえる(六月十日読売新聞)といわれている。そうした場合予備費計上の五百億円では足りなくなることも予想されるが、財源措置の見通しを伺いたい。

二、四十三年度の予算の予備費千二百億円のうち、すでに支出済みとなつた分(四月-七月までの第一・四半期)はいくらか。

三、昨年度の給与改訂は八月一日実施で、補正予算で五百四十四億円を追加計上した。今年の人事院勧告を完全実施すなわち五月実施するならば到底予備費計上額では足りないはずである。
 そうすると、一応賄えるようにみえる四十三年度予備費も、政府がいう人事院勧告を尊重し、完全実施するには不足する額である。そうした場合、どうするのか、予備費以外で財源調達の目途があるのか伺いたい。

四、勧告の完全実施を行なうならば、財源的にみても給与改訂のための新規財源の必要なことは明白である。
 そのためには、予算補正を行なうべきは当然であると思うが総合予算主義の建前を守るために補正予算の国会提出は行なわない方針かどうか伺いたい。

五、補正予算を出さないとした場合、公務員の給与改善を具体的にどういう方法でやるのか。
 給与表の改訂を国会で審議させ、それさえ通れば予算の面では予備費使用ということで、国会には事後承認の「予備費使用の承認を求める」というやり方を考えておるのかどうか。
 予備費の使い方だけの面でみるとそれも可能だと思う。財政法第三十五条の予備費使用の規定、更に同条三項の閣議決定の必要を免れ、大蔵大臣の権限で出せるとした昭和二十九年四月十六日閣議決定の「予備費の使用について」をみても、国会の閉会中でも法令または国庫債務負担行為により支出義務が発生した経費は予備費で支出できるとなつているから、形式的には、補正予算の審議をしないやり方もできるかと思うがそのような考え方であるか。

六、予備費使用というやり方で今年度の人事院勧告を実施することは許されるべきではないと思う。
 人事院勧告が行政府と同時に、国会にも出されるゆえんは、国会に給与改善のやり方を始め、その財源対策についても、行政府とは別個の立場で判断せよという趣旨があると思う。
 これを「予備費使用」という方法をとることは、この人事院制度を殺すことになる。従つて絶対に補正予算を出し、国会には予算審議を通じて増額修正権もあるのであるから、国会の判断をあおぐというのが行政府の態度でなければならぬと考えるがこの点について伺いたい。

  右質問する。