質問主意書

第48回国会(常会)

質問主意書


質問第六号

福岡県八女市助役選任に関する自治省の不当な干渉及び和歌山県海南市議会の憲法、地方自治法等違反事件についての質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十年五月四日

須藤 五郎      


       参議院議長 重宗 雄三 殿



   福岡県八女市助役選任に関する自治省の不当な干渉及び和歌山県海南市議会の憲法、地方自治法違反事件についての質問主意書

 地方自治体はその本旨に基づいて地域住民の利益を守る義務を負つている。
 しかるに佐藤内閣はもつぱら米・日独占資本に奉仕し、地方自治体をして、地域人民を収奪し抑圧する反動的な国家の下部機関として再編成しようとしており、官僚的統制と直接的干渉を強めている。
 したがつて、この立場から最近起きている左記事例について質問する。

一、福岡県八女市の助役選任について自治省は、昭和四十年二月十七日自治総第一八六号自治事務次官名の公文書をもつて、戦時中、軍需省軍需監理官であり、当時熊本行政監察長官であつた広重茂氏を八女市助役に選任するよう一方的に、かつ、強力に推せんを働きかけ、同市議会はやむなく同氏を助役に選任した。
 このことは、地方自治法の本旨を自治省みずからがふみにじる行為である。自治省はいかなる意図をもつてこれを行なつたのか。またいかなる根拠に基づいてこれを行なつたのか。

二、和歌山県海南市議会は、昭和四十年二月二十二日の本会議一般質問で同市議会議員岸裏俊司氏が水道料の問題で「ぼつたくり料金云々」と発言した事をとらえて、岸裏議員を地方自治法第一三二条(不当な言論の禁止)違反であるとし、懲罰にかけ、「ぼつたくり料金云々」の発言は懲罰の対象になるとして同年四月九日岸裏議員を戒告処分とした。これは明らかに憲法に保障された言論の自由を不当に制限し、地方自治法第一三二条を悪用し、これを乱用したものであつて、同市議会の行為は憲法並びに地方自治法に違反した行為である。
 また同市議会は、前記懲罰委員会の設置に際し、議会の同意を経ずして岸裏議員本人を同席させたまま、本会議で懲罰委員会設置を多数で議決しており、(本人は反対投票)更に懲罰委員の選出の際も本人が会議に出席している。これは明らかに地方自治法第一一七条に違反した違法の行為であり、これまた無効の議決である。
 したがつてこの違法の手続により設置された懲罰委員会の岸裏議員に対する懲罰は全く無効なものである。
 かかる海南市議会の実態に対し自治省は、これを黙過しておるが、これはいかなる見解に基づくものか。

  右質問する。