質問主意書

第48回国会(常会)

質問主意書


質問第四号

東京都公安条例の運用に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十年四月二十一日

岩間 正男      


       参議院議長 重宗 雄三 殿



   東京都公安条例の運用に関する質問主意書

 東京都公安委員会は、「4・18全国統一行動代表者会議」が主催する「4・18全国統一行動」について、右大衆行動が本来目的とした国会、首相官邸およびアメリカ大使館周辺における集団示威行進を、一方的な進路変更の処分によつて許さなかつたと聞いている。

一、東京都公安委員会は、いつ、どこで、いかなる方法によつて、右進路変更の処分を決定したか。

二、申請者が、国会、首相官邸、アメリカ大使館等に集団示威運動を行なうために進路を選んだ場合申請者の意思を無視し、一方的に進路変更の処分をなすことは、憲法の保障する表現の自由に対する不当な侵害であり、違憲の措置ではないか。

三、前記事例における進路変更処分は、いかなる法律上の根拠にもとづくのか。

四、もし、いわゆる東京都公安条例第三条第一項但し書第六号による条件であるとすれば、「公共の秩序又は公衆の衛生を保持するためやむを得ない場合」であつたことの具体的事由を明らかにされたい。

五、申請者の意思を無視し、一方的に進路の変更をおこなうことは、当該申請の進路に対する不許可、または、当該申請に対する部分的禁止を意味するから、「公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合」でなければ、当初申請のまま許可しなければならないとする判決例がある(昭和三八年三月二七日東京地方裁判所刑事第一三部判決、昭和三八年一一月二七日東京地方裁判所刑事第三部判決)。右各判決例は、いわゆる東京都公安条例は、実質的に届出制であり、「公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合」以外には、許可が義務づけられていると説く昭和三五年七月二〇日最高裁判所大法廷判決に従つたものである。
 東京都公安委員会は、これら裁判所の判例にのつとつて、具体的事例における許否の処分をおこなつているのかどうか。

六、前記「4・18全国統一行動」は、「公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合」にあたつたのかどうか。
 もしそうであるとすれば東京都公安委員会は、いかなる事実を根拠にそう判断したかを、具体的に明らかにされたい。

七、前記「4・18全国統一行動」の実施に際して、警備の警察官は、右集団示威行進参加者がもつていた「アメリカ帝国主義はベトナムから出て行け」というスローガンを掲げた長さ約三メートルの横断幕を、部隊規制をもつて、強制的に撤去させたというが、右警察権の行使は、いかなる法律上の根拠にもとづくのか。
 右の規制措置は、何人の指揮命令によつて、いかなる警察部隊がおこなつたのか。
 このような警察権の行使は、不当に表現の自由を剥奪するものではないか。

  右質問する。